Webひきこもり家族教室9 こもることを助けないように

2015年03月18日

 Webひきこもり家族教室の第9回です。

 今回は、こもることを助けないように。と題しました。
 熱が入りすぎたので、9、10回と連続講座です。

 世の中には、
あるがまま、そのままでOK、自然に、
なんて耳あたりのいい言葉があふれていますが、

 これをそのまま、ひきこもる生活を送っている人に当てはめるのはよくありません。

 こもった生活があなたにとって自然なのだから、気がすむまで、何十年でも、こもっていていいよ。
それがあなたのあるがまま。
 そのままでOK。

なんて風な関わりをすると、

 他者との関わりが極端に少ないために、嫌なことは減るけれども
他者との接触による
 新しい視点、新しい価値観、新しい困難への対処法などを手にしづらくなることを促進してしまいます。

 都合、
誉められたり、感謝されたり、共感されたり、労ってもらったりという思いやられる機会もとっても少なくなります。

 だから、上記のようなこもる行動によりそう言動は、
人と関わって悪い思いもするけどいい思いもする機会はあなたにはなくていいよ。
 と言っているようなものなのです。

 インターネットを例に考えてみます。
 インターネット技術は加速度的に発達していますが、ネットでの情報はこちらから求めないと得られないことは変わりありません。
 そも、自らネットに接続しないと各種情報にはアクセスできません。
 最近は、自分の好みに合ったページや情報や広告に触れやすい設計になってきたとは言え、最初はやはり自ら情報を検索することから始まります。

 自動的に氾濫する情報に接触しているような印象のインターネットですが、
実はとても能動的なのです。
 これはつまり、
自分が想定した範囲内の情報だけに触れやすい構造になっているからですね。
 知りたい情報を知りたいときに素早く! です。

 一方、
他者と関わると、予期せぬ情報に触れることになります。

 厳つい顔をしたアニメなんて子どもの観るものだ的な雰囲気をまとっているところの
 まさか、あんたが!!
 自分と同じマクロスファンだったとは!?
 しかもキムが好きだった!

 というようなことを、雑談の中で発見することは珍しくありません。

 他者と関わっていると、
予期せぬ恐いこと、嫌なことも起きるけれども、
 予期せぬヤッホーな発見、ラッキー、喜びとも出会います。

 ですが、
一人部屋の中でこもっていると、

 部屋の外の社会は、
身分の上下関係が厳しく、勝ち組だけがのさばって、
    犯罪が多く、住民は不審者の監視に鵜の目鷹の目で、
  新型インフルエンザ、マダニ感染症、エボラ出血熱、デング熱など疫病が蔓延し、
労働者は、ブラック企業に捕まり、サービス残業でうつ病になり、
 災害が頻発する恐ろしい世界です。

 インターネットやテレビ、新聞、雑誌などで、
そういう情報だけを何度も繰り返し受信しするからです。

 こもる人は、外は恐いからひきこもるので、外は恐いという心理で物事を見聞きします。
すると、外は恐いという情報にとても敏感になって、そういう情報だけを受信し集積していくのですね。
 そうして自分の思いを確信していきます。

 実際は、そういう状況の中で危険に対処して70億人の人類は生活しています。
そういう危険性をはらみ不満や不安を抱えながらも、喜びや楽しみを味わって、日々を暮らしているのですね。
 それはつまり、危険や不満・不安の対処法、喜びや楽しみを味わう方法はたくさんあるということです。

 今、個性だから、特性だから、その人の自由意志だからということで、
他者と関わらないこもる生活を勧め、手助けすることをよしとする関わり方があります。

 誰にも会わない職を探し、
家で一人パソコン仕事する生き方を十数年模索し、

 生きるための必要経費を極力下げるために、
飲食費をけずり、風呂にも入らず、着たきり雀で生活し、

 とにかく誰にも会わないでいられるよう一生懸命に努力するこもる人。
と、
 それを黙って見守る人。家族。支援者。

 私聞風坊は、これに批判的です。

 なぜなら、
その生活が実現できたとして、生活基盤はとても脆弱だと考えるからです。

 人が人と関わることを前提として構築された人間社会では、
誰とも関わらず生活するということはものすごく困難なことなのです。

 会いたいときに会いたい人に会いたいだけ会っても、問題なし。
そんなことは極めて特殊な環境でない限りありえません。

 もし今現在こもっている人が、そういうことが実現できているとして、
その状況を支えているのは誰か? 
 と考えてみることは有益でしょう。
きっと自分以外の誰かが支えているでしょう。

 お互い様。
お互いの都合に折り合いをつけて生活する。
 そういう現実を踏まえた、将来を見すえつつの今
へのよりそいが必要だと思っています。

 在宅仕事であれ、不労所得生活を目指すのであれ、誰とも関わらず暮らすのは不可能です。
 誰かとの嫌な出来事、メンドクサイ人間関係から隔離した生活もまた難しいのです。

 どこかの時点で、誰かと関わらねばなりません。
するとそこには、不測の事態が待っています。
 そのストレスをやり過ごせるようになった方が、安心感は増します。
より安心してこもる生活が送れるようになるというもの。

10回に続く。乞うご期待。


参考書籍 拙著
『こもって、よし! ひきこもる僕、自立する私』(鉱脈社)
『「親」を育てる「ひきこもり」』(私家版)



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