相談に行ったらなんだか軽くあしらわれている感じがしてしまう理由の話

2020年11月05日

世の中、相談機関は山のようにあるんです。
公的なものだけでも。

一例として県のサイトと市のサイトを挙げますが、

宮崎県精神保健福祉センターサイト
http://www.seihocenter-miyazaki.com/download1.html

宮崎市サイト
https://www.city.miyazaki.miyazaki.jp/health/health/consultation/781.html

それぞれに、こころの電話帳として相談窓口一覧表がPDFダウンロードできます。

改めて見ると、実に幅広く相談窓口はあります。

これだけあれば、きっとどこかいいところにつながって、問題が解決したり、苦悩が軽くなると期待してしまいます。

ところが、利用者は、利用してみて、なんだかうまくいかない、しっくりこない、もやもや感を感じてしまう。
ということも少なくないのです。

ひきこもりやニート、不登校支援ではわりと有名なんですが、
当事者や家族のほとんどは、一度は支援機関、相談窓口を頼っているんです。
でも、そのあとが続かない。

で、問題長期化。

最近は、
あの8050問題として有名になっています。

一言でいうと
支援する方とされる方のミスマッチ問題なんですが、

この要因の1つについて思うところを記します。

それは、
以前から、研修などで指摘してきたことですが、
社会や支援者の、そして支援される人が持つ、
無意識の上下関係です。

例として、ひきこもり支援の説明図と生活困窮者自立支援の説明図を挙げます。

ひきこもり支援の説明図は、ひきこもり支援ガイドライン最終版(2010)からの引用です。
相談に行ったらなんだか軽くあしらわれている感じがしてしまう理由の話
一見して分かるように、こもる人は左最下段に位置しています。それを右上に上っていって、最上段たどり着くいてゴールという図式です。

こうやってスモールステップで、階層的に段階的に支援していくんだよという意味です。

この図では、社会や支援者はどこに位置しているかというと右最上段。一番の高見に居ます。
その位置にいる人が、左最下段にいる人を支援する。

左最下段にいるこもる人は、階段の最上段、山の頂上を見上げて、伴奏型支援を受けながら、一つ一つ上っていく。そんなイメージです。

次は、生活困窮者自立支援制度の説明図です。平成25年8月2日の会議資料がアップされていますので、そこからの引用です。
厚生労働省のサイトより
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059382.html

相談に行ったらなんだか軽くあしらわれている感じがしてしまう理由の話
第1のセーフティネットが生活保護で、そこに到る前、第2のセーフティネットとして新しい制度が作られた! と言う説明です。

こちらも一見して分かるように、底辺が生活保護受給者、その1つ上が困窮者、さらに上がいわゆるフツーの人たち及び支援者という構図です。

セーフティネットというのは、上から落ちても安全で居られるような配慮です。
上にいる人が下に落ちても大丈夫。
と言う意識です。

どちらも国の施策です。
生活困窮者自立支援制度は法律すらあります。
と言うことは、国民ひとりひとりの意識が反映されているということです。
もちろん無意識も。

相談窓口に居る支援者は、無意識にこの思想の中で仕事しています。
相談窓口を利用する人も、無意識にこの思想の中にいて、その上で支援を受けようとし、実際に支援を受けています。

上位の人が下位の人を支援する。
思いやりを持って、寄り添いながら。

下段の人は、上段の人から支援を受ける。
自分が社会から下に見られている思いを抱きながら。
自分も自分を恥としながら。

こんなことから、
支援者がどれほど親身になって心を砕いて寄り添っているつもりでも、
自分の心の奥底にある無意識の上下の感覚。
そこから発生する支援を求める人への見下し感。
は、支援する中のそこかしこに顔を出すでしょう。

有り体に言えば、上から寄りそっているんです。

支援される人はそれを敏感に感じ取ります。
なぜなら、自分の中にもその感覚が強くあるからです。

支援する方とされる方の両方が、自分たちは上下感覚の中にいるということを意識していることは大切です。
一致協力して、困難を解決するために。



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