2017年11月12日

そのままの私に価値があると気づく話

 今回は、自助グループの恩恵の話です。

 ミーティング主体の伝統的自助グループでは、

 自分に正直になることが求められます。

 虚勢を張らず、

 自分の弱い面も受け入れて、

 失敗したこと、

 できなかったこと、

 望ましくない行動をしたこと、

 を、

 成功したこと、

 できたこと、

 望ましい変化をしたこと、

 と同等に価値を置きます。

 すべては私のことだもの。

 そんな思いからです。

 自助グループでは、日常、フツーの暮らしの中に、自分をよくしていく気づきを求めます。

 だから、日常の体験を語り合います。

 日常は、相変わらず悲惨で、どうしようもなく、悩みばかりで、晴れ晴れとしてはいないでしょう。

 価値があるとは思えません。

 それでも、その私の話はしっかりと聞かれ、労われ、心の糧となる話としてメンバーから感謝されます。

 そういう体験をする場なのです。

 別に皆に喜ばれようと思ってしたわけでもなく、

 自分の達成を多少盛り付けて話したわけでもなく、

 フツーの私。

 そのままの私。

 右往左往しながら暮らしている日常のこと。

 を正直に話しているだけ。

 そこに価値を置かれる場。

 それは、

 そのままの私に価値を置かれる体験となります。

 すると、
 私は、そのままで価値があるんだ。

 期待に応えるよう頑張って価値を上げなくてもイイんだ。

 そんな思いを持ちます。
   


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2017年10月12日

自助グループは拡大再生産を目指さない。

久しぶり自助グループの話です。

私が経験した伝統的ミーティングを主体とする自助グループは、

社会に訴える活動を主軸にすえません。

 そのため、
一部の当事者活動団体がやっているように、

自分たちの困難を広く知ってもらうためにイベントを行ったり、

マスメディアに露出したり、

広く知ってもらう活動を極力控えます。

都合、メンバーを増やすための活動も控えます。

メンバーが増え、所帯が大きくなり、グループがたくさんできることを目指しません。

もちろん仲間が増えることは望んでいますが、

そのために直接的な行動はしないのです。

 なぜなら、
外にうったえかける活動のために、自分の変化と成長が置き去りにされるから。

自助グループでは、自分を変えることを一番重要視しています。

 だから、
 他人を変えたり、社会を変えたりする余裕があるなら、

 もっと自分をよくするにはどうすればいいかを考えなさい。

 と厳しく指摘されます。

 このように、
広く世間に訴えかけ、生産量を上げ、利益を拡大する拡大再生産と呼ばれる消費社会のモットーは、

自助グループでは採用されていません。

自分をよくする。

それが結果的に社会を変えることとなる。

 他者を変えずに自分を変える。

こういうゆるぎない信念にもとづいて活動するのです。

  


Posted by 聞風坊 at 06:00Comments(0)自助グループ

2017年09月30日

自助グループの恩恵は与える能力に気づくこと

自助グループの恩恵の話です。

これまで、自分の体験を聴いてもらえる喜び、

つまり「他者から何かしてもらう点」を強調してきましたが、

一転、

自分は、
メンバーやグループになにかを与えることができるんだ。

ということに気づく場でもあるのです。

ミーティングでは、自分の日常体験を語るのですが、

それは、日常生活の工夫であり、ふとした気づきであり、自己洞察であり、ちょっとした失敗であります。

それらの話、自分の日常体験が、聞き手であるメンバーの成長の役に立つのです。

おぉ、そうやって工夫すればイイんだ!

あぁ、すばらしい気づきだ! 人は気づいて成長できるんだ。

そうだなぁ。自分にもそんなとこあるなぁ。

みんな失敗してるんだ。それぐらい当たり前なんだ。ほっとするなぁ。

そうして、自分の変化と成長に役立つものだけ持って帰ります。

自助グループには、与えることともらうことが同時にあります。

ギブアンドテイク。

自主的な提供とそれを自主的にもらって役立てる。

提供できる喜び。
価値あるものを与えることが出来る喜び。

それらを感じることが出来ます。

自分には、他人様に与えるほどの財産はない。
と思っている人には、ビックリたまげる経験です。

そんな自助グループの恩恵の話でした。


  
タグ :与える


Posted by 聞風坊 at 06:00Comments(0)自助グループ

2017年07月26日

自分のことを聴いてもらえるという恩恵のこと

 自助グループの最大の恩恵と言えば、

 ただ、聴いてもらえること。

 のように思えます。

 自助グループミーティングでは、

 自分の体験を話し、

 それを他のメンバーがただ聴く。

 そうして、自分の生活に役立てる。

 これが基本。

 さてその時、

 話し手はどんな思いになるか?

 自分の体験は、耳を傾けられるほどの価値があることと実感する。

 自分の体験に、共感してもらえる。

 自分の体験が、他者の役に立つ。

 体験を通して、感じたこと、考えたこと、反省したこと、行動したこと、しなかったこと、改善したこと、
 などの話を、
 口にする価値があることを体験すること。

 それは、自分の発言が誰かの役に立つことを体験することです。

 この体験は、自分の考え、感情、行動に価値を見出します。

 それは、自信へつながります。

 自助グループは、ある面、そもそも、怖くて話せない人、安全のために話してはならない、恥を感じるから口にしてはならない人、自分の話すことに価値を置いていない人の集まりです。

 そんな人たちが、

 自分の体験を、話せるようになる場。

 自分の体験に、価値を認められるようになる場。

 それまで意味がないと思っていた自分の体験に、
 苦痛や恥以外の意味、未来への意味を発見する場。

 なのです。

 自分のことを聴いてもらえる恩恵を受けた人は、

 他者への感謝の気持を持ちます。

 それは、自他への優しさ、

 思いやりを招じます。

 自他に思いやりのある人は、

 穏やかに暮らせるようになります。

 自助グループの恩恵の話でした。
  


Posted by 聞風坊 at 06:00Comments(0)自助グループ

2017年06月24日

まともじゃない話

 友愛に満ちた自助グループでの会話は、じつはとても辛辣です。

 よく、交わされた言葉の一つに、

 私たちはまともじゃない。

 というのがあります。

 客観的にみれば、

 飲んだくれのパートナー、飲んだくれの親、

 怒鳴り合い、罵り合う家族同士、

 昼夜を分かたず繰り返される暴力。

 破られる約束。

 大事にされない関係。

 力ある者が際限なく支配的で、
 力ある者の気まぐれに振り回され、

 いつも恥をかき、悔しい思いをする家庭。

 などなど、

 異常な人間関係、環境の中にずっといて、

 それがフツーと思って暮らしていて、

 優しくされたり、気遣われたり、信頼されたり、頼み事をしたり、

 約束をちゃんと守られたり、アテになったり、

 するフツーの社会での人間関係や常識が、とてもなじみづらかったり、

 するからですね。

 まともじゃない。

 自分のことをそう自覚することが、回復の一歩なんです。

 それは、自由への一歩を意味しています。
  


Posted by 聞風坊 at 06:00Comments(0)自助グループ

2017年02月15日

デキることとデキないことを引き受ける

 世界中の自助グループで広く唱えられている祈りの言葉に、

 平安の祈り

 があります。

 その中に、

 変えることがデキること

 変えることがデキないこと

 についてのくだりがあります。

 世の中には、デキることとデキないことがあるという

 極めて現実的な事実があります。

 心が平安でないと、

 それが分からなくなります。

 だから、
 グループでは、毎度毎度この祈り唱えます。

 そうして、

 日々日常、デキることとデキないことを見極め、受け入れ、

 自分にデキることをやっていくようにするのです。

 他人と過去は変えることはできません。
 他人の感情、他人の行動、反応、思考を私たちの思い通りにすることはできません。

 同様に、私の感情、私の行動、私の反応、私の思考は、他人の思い通りにはデキません。

 私の感情、私の行動、私の反応、私の思考は、私のみ変えることができます。

 変えることと変えられないこと。
 
 デキることとデキないこと。

 この2つを見極め、受け入れること。

 現実的に生きる最も基本的な要点のように思えます。


   


Posted by 聞風坊 at 06:00Comments(0)自助グループ

2016年03月26日

星の王子さまにリーダー論を学ぶ

 いわゆる外国の童話や絵本には縁遠かった私聞風坊ですが、
最近『星の王子さま』(サン=デグジェベリ作 内藤濯訳 岩波書店 1998)を読んだのでした。

 全体的になんだか切ないトーンなのに少々ショックを受けながら読み進んでいると、

 おぉ、そうだ! と膝を打つ一文がありました。

「ぼくはね、花を持ってて、毎日水をかけてやる。(中略) 火山のすす払いもする。(中略) 
 ぼくが、火山や花を持ってると、それがすこしは、火山や花のためになるんだ。だけど、きみは、星のためには、なってやしない・・・」(p75)

 夜空の星々を自分のものとして、自分の手もとに抱え込むことに熱心な実業家に、王子様が言った言葉です。

 ナニカを所有している人は、所有したナニカからしてもらうことばかりに熱心で、
 自分が何かしてやることに意識を向けることは少ないようです。

 例えば、

 会社の社長さんはじめ部下を持つ人。
 社員・従業員・職員が働いて職場や会社の役に立つかどうかばかり意識していて、
 自分が部下のために何かしてやる気持ちはあまりないかもしれません。

 NPO・ボランティア団体の代表。
 志を一にする会員、スタッフのために自分が何ができるか?

 自助グループのリーダーは、
 メンバーの成長のためにサービスするのが仕事だ。
 そう学びました。

 自分の管理下にある部下、職員、メンバーが、

 仕事しやすいように、

 能力を発揮できるように、

 新しい能力を獲得できるように、

 リーダーである自分に何ができるか?

 星の王子様の発言から、リーダーシップ論を考えたのでした。
 
   


2016年01月11日

ひきこもりの方法論が重要なのでした。 2

 昔話の続きです。

 どうしたら、現在の苦悩を減らし、いまより楽に生活することができるのか?
 どうしたら、苦痛の少ない社会参画の仕方を修得できるようになるのか?

 その方法論がない議論、運動、施策、当事者グループには、
 大反対の私聞風坊でした。

 私が出会ったグループは、方法論があるのです。
 あれもダメ、これもダメ的な、ものすごく厳しいのが叫び

 そこでは、
 個人的なこだわりを横に置いて、
 先輩たちが体験的につかみ取った回復の方法論に愚直に従うことが、
 自分たちの一番の利益になるのでした。

 だから、厳しい決まり事があったのですね。

 私がひきこもり仲間と始めたのも、その流れを汲んだグループでした。
 そこでは、自助の先輩グループの経験知に従い、

 主体性を取り戻すために、
 ミーティングを繰り返し、
  自分の思いを発話し、
     他者の体験を聞き、
   それらを日常で活かした経験を共有し、
 やりたいことを誰かと一緒に実現していくという方法論を採りました。

 そしてひたすら、
 自分たちは、自分のために何ができるのか?
 自分たちは、自分に対してどうすればいいのか?
 を自学自習しました。

 それは、
 自分は、普段どうしているのか?
 どんな風にしたら心地よくなれたか?
 どんな風だといけなかったか?
 ということを率直に認めあう場でした。

 自分を素材にして研究し、実験し、よい方法を探り出す。
 こんなことができるのは、やはり当事者だからこそだと思います。
 当事者だから、自分に効果的な方法が発見できるのです。
 ※北海道べてるで有名な、当事者研究という分野もありますね。

 苦悩少なく生きる方法を手にするために、自分たちの日頃の体験を振り返る。

 棚卸しと呼ばれるこの方法論は効果があります。

この項終わり。
  


2016年01月09日

ひきこもりの方法論が重要なのでした。

 昔話です。

 若者支援を長年続けられている重鎮の、

 タメ塾・NPO法人青少年自立援助センターの工藤定次さんと、講演をご一緒したことがあります。

 その際、私聞風坊は当事者グループの代表として参加していましたが、工藤さんは少々複雑な表情で私と関わっておられました。

なぜだかなぁと思っていましたら、

 当事者グループというのを、仲良しグループだと思われていた様子。

 小さな世界で、つるんでそれが一番いい、学校や就職なんかしなくていい、
そのまま何もしなくて、あるがままでいいとしている集まり。
 というイメージだったのかもしれません。

 私が、自助グループは仲良しクラブではなく、自分をよくしていくための集まり。
 自分の変化と成長を常に目指す運動だということを講演しましたら、少々表情も変わられたようでした。

 さて、当時、氏は、方法論ということを盛んに口にされていました。

どうしたら、ひきこもり状態から脱することができるのか?
どうしたら、社会参画できるようになるのか?

 その方法論がない議論、運動、施策、当事者グループに対して問題意識を持たれていたのでしょう。

 方法論がないグループ。
私も大反対です。

この項続く。
  


2015年12月26日

薬物依存症リハビリセンターフォーラムに行ってきました。

 DARC(Drug Addiction Rehabilitation Center)宮崎の設立20周年フォーラムに行ってきました。

 久しぶりのアディクション当事者の場に身を置けて、とても懐かしくそしてユーモアいっぱいの会場に心なごみました。

 悲しみと絶望を友愛で包み込んでいる独特の雰囲気。

 テーマは違えど、人にとって大切な環境は一緒なんだなとしみじみ思いました。

 みんな絶望を引き受けることから、今の落ち着いた暮らしを手に入れているのでしょうね。

 フォーラムのスピーチで心に残った一言があります。

 あの、有名な「今日一日」です。

 これまでは、
 明日から断薬しよう。
として
 今日薬物をとっていた人が、

 今日一日断薬しよう。
薬は明日にしよう。

という風に考え方が変わったのだそうです。

  それから、薬をとらない生活が始まったとか。

 そうでした。そうでした。
こう学んだのでした。

 今日一日飲まずにいよう。
明日になって飲めばいいじゃないか。

 今日一日しらふでいよう。
明日酔えばいいじゃないか。

 今日一日まともでいよう。

 今日一日穏やかでいよう。

 今日一日誇れる日でいよう。

 未来のことは分からない。
でも今日一日はなんとか持ちこたえよう。

 そういう意志。そういう現実志向。そういう優しさ。
のこもった一言です。

 応用はいっぱいできますね。

 今日一日ゲームはやめよう。

 今日一日煙草はやめよう。

 今日一日こもらず誰かと関わろう。

 今日一日平穏な気持ちで過ごそう。

 生きることがどうしようもなくなった絶望の中から見つけた一つのよりどころ。
絶望の中を生きるよすが。

 それが「今日一日」なのです。

 今日一日、今日一日を生きよう。


 私聞風坊も、
ひきこもる絶望の日々をこの言葉を支えに生きてきています。
  


Posted by 聞風坊 at 06:00Comments(0)自助グループ


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