読む聞く想像する力についての本を2冊読んだのでした。

2020年03月21日

ケーキの切れない非行少年たち (宮口幸治著 新潮社 2019)
https://www.shinchosha.co.jp/book/610820/
※出版社新潮社さんのサイトです。

を読んだのでした。

非行少年を例にして、社会で暮らしていくことがうまくできない理由、
他人の中でやっていくのにとても苦労する理由、
を、
読む力、聞く力、想像する力の視点から解説しています。

コグトレという3つの能力を高める練習プログラムも開発されています。
http://www.cog-tr.net/
コグトレ研究会のサイト

私聞風坊も試しにやってみたら、聞く力が弱いことに気づいたのでした。
音は聞き取れるのですが、何を言っているのかの理解が難しいタイプ。
そういえば子どもの頃、人の話がよく分かりませんでした。
復唱はできても、どうしたらいいか行動に移せない。

身動きできず固まることもしばしば。

聞こえに問題があった。
このことから別の情報を仕入れました。

APD(Auditory Processing Disorder)・聴覚情報処理障害です。

APDの理解と支援(小渕千絵・原島恒夫編著 学苑社 2016)
https://www.gakuensha.co.jp/40785.html
※出版社学苑社さんのサイトです。
聴覚自体には問題はないのに、聞き取りに困難を覚えるのですね。
騒音の中では会話しづらいとか、聞こえているのに内容が分からないとか。

いろいろ困難の形はあるのだなと思ったのでした。

ちなみにどうすればいいかは、
練習での機能アップと他の能力の助けを借りるのが基本みたいです。

私は、集中するために目をつぶって聞いたり、
図解したり、実際に動作をやってみたりしてます。


  


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ひどい仕打ちに耐え抜いて権利を手にした人たちの英知の集積の本のご紹介

2020年03月17日

『当事者研究と専門知 生き延びるための知の再配置』(臨床心理学増刊第10号 2018 金剛出版)
についての感想記事です。

1960年代頃の昔、身体障害児は、医学モデルを基盤にした治療のような療養のような教育・しつけのような扱いを受けていたようです。
病院のような療養施設のような寄宿学校のような所に、親元から離されて住まわされ、身体と心の矯正を施されたようです。
医学的に正しいこととして。

精神障害児者についても同様で、
私宅監置を含め収用様の扱いを受けていたようです。

フツーと違う、
※この場合は、フツーの人ならできることができない
 
など、フツーより劣ると認定された人は、
今で言う人権などは適用されない扱いを受けていたようです。

その屈辱をバネにして、
フツーじゃない扱いをフツーにしてくる社会と闘って、

人間らしい暮らし、
人間らしい扱いをつかみ取ってきた、

当事者運動の先輩諸氏の実話がたくさん掲載されています。

命がけで、
医学と戦い、社会制度と戦い、人々の常識と戦い、
誰もが人として暮らしていける社会に一歩ずつ近づけていった軌跡です。

この先人たちの血と涙の経験の上に、
不十分とは言え、今の私たち当事者の人権を(比較的)尊重された暮らしがあるのだと再確認するのでした。

権威や常識により理不尽な扱いを受け、屈辱にあえいだままでいいのか?

それとも
人並みの暮らしを手にしたいのか?

当事者は常に問われています。

〈関連記事〉

  


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自助グループは、今の仲間だけのことを考えてるんじゃないという話

2019年11月23日

 『当事者研究と専門知 生き延びるための知の再配置 臨床心理学増刊第10号』(熊谷晋一郎責任編集 金剛出版 2018)
 http://kongoshuppan.co.jp/dm/75010.html

を読んだのでした。

 綾屋紗月さんが指摘する自助グループの関係には、仲間としての横の関係と先輩後輩としての縦の関係があるという指摘がとても心を打ちました。(p9)

 自助グループは同朋関係の効果ばかり取り沙汰されがちですが、同じくらい重要なのが、過去現在未来という時間軸での縦関係なんです。

 先ゆく人なんて言われることもあるのですが、自分より前に問題に取り組んできた、取り組んだ先人の奮闘の財産を今のグループに引き継いでいるんです。

 だから、自分たちの変化と成長がある。

 それは先人がまだ見ぬ人である未来にグループにつながる人=つまり私たちへの思いやりから、
残してくれたものが、作用しているからなんです。

 過去連綿と受け継がれてきたそういう縦関係の基盤の上に、私たちはグループ活動できているんです。

 だから私たちは、未来を見すえねばなりません。

 まだ見知らぬ仲間のために、どんな財産を残せるか?

 それは、自分たちがよく生きることにほかなりません。

 よく生きられなかった私たちが、グループの先人達が残した英知に触れることで、

 よく生きられるようになった。

 それをまた財産として残し、未来に受け渡す。

 そうして、思いやりが伝承されていきます。

 そんな思いやりの流れの中にいる自分を実感し、孤立は癒やされ、成長がなされるのです。

 自助グループの縦の関係の話でした。
  


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トラウマ関連のことをよく知った上でのケアを実践する本を読んだのでした

2019年10月25日

 『トラウマ・インフォームドケア Trauma-Informed Care』
(川野雅資著 精神看護出版 2018)
 http://www.seishinkango.co.jp/s2_bo089.html

を読んで感動したのでした。

自分が求めていたのは、
やりたかったのは、

これだ!

と強く思ったのでした。

インフォームドというのは、
詳しく知っているとか、だからどうすればいいのか知っているという意味だそうですね。
インフォームドコンセント(※医療側の詳しい説明と患者の同意)で有名です。

トラウマについて詳しく知っている。

どんな出来事がトラウマになるのか。

どんな影響を与えるのか。

どうやって回復していくのか。

その道筋はどんな風か。

その道筋に必要なものはなにか。

何をせねばならないか。

何をしてはならないか。

などなどを、詳しく知っていて、実践する人たちが増えたら、

どんなに社会がよくなるでしょう。

病院でトラウマを負うことは少なくありません。
再受傷とか、セカンドレイプとか言われます。

カウンセリングやセラピー場面でも、児童相談所、児童養護施設でも。

警察でも、学校でも、地域の暮らしの中でも、親戚間でも、

もちろん親兄弟姉妹の間でもです。

だから、
トラウマ・インフォームドケアが実践されることを期待します。

そして、
少しでも理想のトラウマ・インフォームドケアができるよう、
最善を尽くしたいと思います。

  


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集団が愚かになる話。『大衆の反逆』を読んで。

2019年08月30日

スペインの哲学者・オルテガの『大衆の反逆』を読んだのでした。
http://www.chuko.co.jp/zenshu/2002/02/160024.html

その感想です。

民衆が主権を持つ民主主義によって独裁政権が生まれ、
第二次世界大戦に突き進みだした頃の著作だそうです。

不満やうっぷんに閉塞感に耐えられなくなり、
これまでのやり方を全否定して、新しいナニカに熱狂して、猪突猛進すると、
手ひどいしっぺ返しを食らう。

だから、
これまでの人類が試行錯誤してなんとかいい世の中にしていこうと奮闘してきた成果である
過去の英知に倣って、

今どうすればイイかをしっかり考えて実行する。

少しずつ改善する。

それが一番着実で改善効果的。

そしてこれは、過去の人々の声を聴き、
過去の人々に思いを致し、
過去の人々に重きを置く。

これはつまり、
他者の声を聴くと言うこと。
その中には過去に生きた人、つまり死者、の声を聴くことも含む。

独りよがりにならず、他者の意見に耳を傾けて、
自分の行動を決める。
そうして少しずつよい方向に歩む。

オルテガの思いを
私は、そんな風に受け止めました。

読後、思いついた言葉は、

温故知新。
古典に倣う。
です。

現在、

自分たちこそ正義であり、知る権利や報道の自由があるからと、
何をしてもいいと思ってるようなメディアや、

科学的なことが一番正しいからと、
科学の常識に当てはまらないことは全部捨て去っていいと考えている科学者や、

科学重視、エビデンス重視がブーム・風潮だからと、過去の一切を否定したり、
例えば、エビデンスの多く比較的新しい認知行動療法のみ価値をおき、
精神療法の開拓者であった精神分析を軽蔑よろしく頭ごなしにけなしたり、

自由にしていい権利があると数に任せて力任せに制度を改変して運用したり、
例えば、抑圧されてきたグループの中で多数派の力を手に入れたので、
今までのやり方、少数派の思いを一顧だにせず自分勝手に行動したり、
果ては少数派を排除したり、

当事者こそ主体なのだから、一番重視されるべきなのだから、
当事者である自分たちは、当事者をこそ名乗れば、
当事者でない者は、自分たち当事者に従うべきだと言わんばかりに
社会に働きかけたり、

そんな、
自分のことばかり考えて他者との協調に心を配らなくなってしまう、
何をしてもいいと自分に許可を与えたかのような、
または、
何者かから許可が与えられたかと錯覚したような、

そんな幼稚な愚かさを戒めます。

そして、
過去の積み重ねがあるから今があるのであり、

未来に誇れる今を暮らしていかねばならないと改めて思うのでした。

独善に陥らず、謙虚に生きる。

自戒します。
  


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