2018年06月10日

身体の病気は、気持ちの現れかもしれない話

本の紹介です。

『身体が「ノー」と言うとき 抑圧された感情の代価』
(ガボール・マテ著 伊藤はるみ訳 日本教文社刊 2017)

です。

 医療現場で治療に当たっている著者は、

 ガンや難病などの深刻な身体の病気を患う人たちには共通する点があることに気づいたのだそうです。

 それは、
 人に対して「ノー」と言えない人が多いこと。
 そして、
 怒りなどの感情を抑え込む人が多いこと。

 なんだそうです。

 本音では、
 断りたいけど、人間関係に配慮して「ノー」と言わない。
 そのために、怒りやなどのネガティブな感情を抑え込む。

 心は、
 気持ちは、
 精神的には、

 そうして平気でいる。

 でも、身体は「ノー」と言い、
 怒りを現す。

 病気で身動きが取れなくなるという形で。
 相手を攻撃できない代わりに自分を攻撃する病気を患うという形で。

 こんな風に考えると、

 長患いを抱えているとき、

 心、

 自分の本音

 に、視線を送るのは役立つかもしれません。

 病気という形で気持ちを表現するのではなく、

 健康を害さない形で表出する方法を見つけるのに。
  
タグ :難病感情


2018年05月15日

他人の中でやっていく話

 『"育つ"こと"育てる"こと -子どもの心に寄りそって』
  (田中哲著 いのちのことば社フォレストブックス刊 2016)

 を読んで心打たれての記事です。

 とりわけ
 「社会的に自立をするとは、知らない人の中でひとりでやっていくことです」(p25-26)
 の一文が印象に残りました。

 不登校・ひきこもりでも生活困窮でもよく目標とされるのが自立です。

 たいがいは、自分で働いて収入を得て暮らしていく経済的自立のことを言いいます。

 厳密に言うとそれは自活なのでしょうが、なぜか自立と呼ばれています。

 そしてそこを目指すのが一般的な支援目標となっています。

 さてこの自立、
 当事者本人の側から言わせると、自立って何?
 となります。

 というのも、
 当事者本人の多くは、経済的な自立以前のナニカで苦労しているからです。

 そのナニカが解決できなくて、またはそのナニカに取り組めなくて苦労しているんです。

 その謎のナニカ。
 この一文でなんとなく説明ができました。

 それは、

 知らない人の中でひとりでやっていく方法

 です。

 私聞風坊を含む当事者本人の多くは、
 これを知らないので、その先の自立がとても困難なのです。
 というか、自立って何? どうやってやるの? 状態なのです。

 私たちは、
 ふと足を踏み入れた
 見知らぬその場で、どう気持ちを落ち着かせ、

 見知らぬ人たちと、どう関わればいいのか?

 が分かりません。
 どう振る舞えば、どう自分を調整すればいいのかが分からず、戸惑うばかりなのです。

 もし、
 自分の気持ちの落ち着かせ方

 自分の気持ちとの折り合いの付け方

 自分の気持ちの奮い方

 を身につけていれば、さほどのストレスなくやっていけるでしょう。
 ※↑本では自己統制と指摘されていました。

 よく考えたら、知っている人の数より知らない人の数の方が圧倒的に多いんです。

 街に出れば簡単に分かります。
 知っている人は時々会うけど、
 知らない人はそこかしこにいっぱい。

 そんな人に、
 どう声かけすればいいか?
  こんにちは。いい天気ですね。

 声をかけられたらどう応じればいいか?
  え? あぁ。郵便局ならこの道まっすぐですよ。えぇ、えぇ、ですが~。いえいえどういたしまして。

 どう協力を求めればイイか?
  すいません、青島方面はどの時刻表を見ればいいですかね? あ、休日だからこれですね。ありがとうございます。助かりました。

 電話の仕方、
 扇風機の買い方、
 ゴミの出し方、

 授業中の質問の仕方、

 なんかよく分からない状態になった時に人に相談する方法、

 暮らしの中でちょっと立ち止まってしまったときにどうすればいいか?

 その方法を知っていると心強いのです。

 自分を頼みにやっていけます。

 その方法を知らないと、とっても不安。
 自信はありません。
 自分を信頼できないからです。
 
 昔は、親やコミュニティーの中で自然と身に付いてきたようです。

 不登校・ひきこもりや困窮などで、他者と触れあう機会が限られていると、

 暮らしていく方法を身につける機会に恵まれません。

 暮らしていく方法を身につける。
 当事者本人たちの自立を考える上で、とても大事なことのように思えます。
 
 ちなみに現在、私聞風坊は、この力だいぶ身に付いてきました。
  


2017年12月30日

虐待を受けると脳にも影響が出る話

 年末最後の記事は何がふさわしいかとちょっとだけ悩んだ末に、
本の紹介をさせて頂くことにしました。

いやされない傷―児童虐待と傷ついていく脳
(友田明美著 診断と治療社 新版)

です。

 著者が熊本大学におられた頃、宮崎での講演を拝聴しましたが、
 暴力が、心理的・機能的だけでなく脳の部位の大きさにも影響があるという報告に衝撃を受けつつ、
 なぜか納得したことを覚えています。

 以来ずっと研究に期待していました。

 私聞風坊は、過酷な環境で大人になった子どもたちをテーマにしていますが、

 著者の研究によると、過酷な環境で育つと、その環境に適するように脳が発達するのだそうです。

 またその脳機能は、発達障害と同じような特性を持つこともあるのだそうです。

 虐待を受けた子どもの行動特性がADHD(注意欠損多動障害)と診断される。

 というのは割と有名な話ですが、その理由も、本書を読むと納得がいきます。

 特に印象に残ったのは、
 暴力を受けるよりも、暴力を受けている現場にいて見聞きした方が脳への影響は大きいということです。
 ※暴力場面に暴露されたなんて言うそうです。

 殴られてないから大丈夫。
 怒鳴られてないから心配ない。

 ということにはならないようです。

 このことは経験的に知っています。
 暴力場面への暴露はのちのち大きな影響を及ぼします。

 暴力場面に適した脳は、平和な環境では不適応をおこしやすいもの。
 生きづらさの理由の一つが脳にもあるのですね。

 同時に著者は言及します。
 脳の可塑性に。
 平和な環境に適応するように脳はまた発達するのだそうです。

 トラウマケアの大原則は、まず安全・安心。
 その状況を確保することが最優先。

 脳的にもいいみたいです。
 
 まず、今日一日安全であること。安全であったこと。

 安心できる時間があったこと。心穏やかな時間を受け容れること。

 そんなとこから始めるといいみたいです。

 皆さまどうぞ穏やかな年の瀬をお迎え下さい。
  
タグ :虐待暴力


Posted by 聞風坊 at 06:00Comments(0)本の紹介トラウマ

2017年12月24日

社会でやっていく苦悩と喜びの話

 ご自分の半生を物語ることで、

 ひきこもりやニートや発達障害やアダルトチルドレンや生きづらさを感じる人たちの苦悩や喜びを

 赤裸々に記した本のご紹介です。

 坂本凌雲(さかもと りょううん)さんの

 『自立への漂流』です。

 ひきこもり関連の当事者本は、自分の内奥を著したものが多いのですが、 ※拙著も同様ですね。

 坂本さんは、家庭や学校や職場での出会った人々と切り結んだ様子がつぶさに記されています。

 他者と関わることがどれほどの困難をともなうのかがよく伝わってくる一書です。

 



 

 
   


Posted by 聞風坊 at 06:00Comments(0)本の紹介

2017年12月21日

不登校・ひきこもりが終わる時の話

本の紹介です。

神奈川で活動されている丸山康彦さんがご自分の活動を本にされています。
『不登校・ひきこもりが終わるとき』です。

ご自身の、不登校とひきこもり体験から、一体何が起こっているのか? どうしようとしているのか? どうすればいいのか?
を問い続け、その答えが喩えをふんだんに一冊にまとめられています。

鎧の喩えは、私のPの考えのもとになった皮膚感覚に近いものを感じますし、

なにより本能重視による重荷からの解放は、私が身体重視でやってきたことと共通していると思います。

なるほど、社会に訊くより自分に訊いた方が、自分のためになるようです。
自分には何がいいか、自分こそよく知っているみたい。

自分をアテにした生き方。

がそれなりにできるようになると、他者と一緒にやっていけるのでしょう。



  


Posted by 聞風坊 at 06:00Comments(0)本の紹介

2017年07月23日

『名前のない生きづらさ』のご案内

 書籍のご案内です。

 いわゆる当事者は、いろいろな人たちから、いろいろな名前を付けられます。

 不登校、ひきこもり、ニート、発達障害、

 いろいろな人たちは、医師や教師や専門家や支援者や社会など、

 とにかく、自分たちの見ず知らずの人たちがほとんど。

 そうして名付けられて納得がいっているかというと、

 そうでもない。

 というか、ほとんど納得がいってない。

 なぜか?

 ズレてるから。

 ということがテーマの本です。

 当事者と名付けられた人たちの苦悩、

 不愉快の一端に触れたい方、どうぞお手にとって下さいませ。

 『名前のない生きづらさ』
    (野田彩花・山下耕平著 子どもの風出版会 2017)
 

 
   
タグ :名前


Posted by 聞風坊 at 06:00Comments(0)本の紹介

2017年07月20日

『ぼくんちへおいでよ』のご案内

 知人カウンセラーから紹介された本のご案内です。

 『ぼくんちへおいでよ』(野田僾著 文芸社 2016)

 です。

 優しく語りかけてくれる詩がいっぱい。

 柔らかい絵がいっぱい。

 ふっと安らげる。

 そんな本です。

 どうぞ、お手にとって下さいませ。

 
  
タグ :野田優


Posted by 聞風坊 at 06:00Comments(0)本の紹介

2017年07月08日

『自分で自分を救う本』のご案内

 友人が、電子書籍を出版しました。

 題名は『自分で自分を救う本:~本当は自分を信じたいあなたへ~』です。

 Kindle版としてAmazonで販売されています。
 https://www.amazon.co.jp/dp/B01N9KWJ6P

 優しい筆致で、

 自分の子どもの頃からの苦悩を赤裸々に描きながら、

 変化と成長の歴史が記されています。

 他者のことばかり意識する生き方を、

 自分のことを基盤にする生き方に変えることで、

 生きるのが楽になったみたい。

 その転機は、人生最大の苦難に出遭ったこと。

 実体験をもとにした、

 苦難を人生の糧に変える方法がこの一冊にあります。

   


Posted by 聞風坊 at 06:00Comments(0)本の紹介

2016年11月24日

精神障がいを抱えた親とその”子ども”を応援するプロジェクトのご紹介

 親が精神障がいを抱えていると、子どもの成長に大きな影響があります。

 親としては、とても子どもを大切に思いやっているのに、症状のためにうまく伝えられない、

 子どものことを心配しているのに、体調急変で子どもにケアをしてやれない。

 そんな親に甘えられないので、孤独を引き受ける子ども。

 親のことが心配で、自分のことがおろそかになりがち。

 そして、そんなことを誰にも相談できない。

 誰に相談していいか分からない。

 そんな親と子どもに安心を提供するプロジェクトチームがあります。

 「ぷるすあるは」さんです。
 https://pulusualuha.or.jp/

 絵本やウェブサイトを製作して、優しく応援していますよ。

 お知らせでした。
  


2016年08月28日

助けてと言わない人と関わること

『援助要請のカウンセリング 「助けて」と言えない子どもと親への援助』
(本田真大著 金子書房 2015)
 で、

 支援を受けることを拒む。

 社会資源を使わない。

 そんな人と、どう関わるかについて学んでいます。


 病院に行かない。

 スクールカウンセラーに相談しない。

 悩みごとを親に言わない。

 支援機関を利用しない。一度行っても2回目行かない。

 そんな時の、心理や、なぜ行かないのか助けてと言わないのかの要因と対応の仕方の研究がわかりやすく解説してあります。


 さて、
 他者に、「助けて」って言う行為は、専門用語で援助要請行動って言うんですね。

 この中で、特に関心を持ったのが、「助けてほしいと思わない人」への関わり方です。

 このタイプは、

 今の自分の状況には問題があるぞと分かっていて、

 しかもそれは自分の手に負えなさそうだと分かっているにも関わらず、

 誰かから助けてもらおうという気持ちが強くないために、

 助けてと言っていないタイプだそうです。
 
 その理由として、

 いろいろ忙しくて時間がなかったり、疲労や体調不良で、
 手助けてくれそうな人に会いに行く機会がとれなかったりすること。


 他者の協力をあおいだところ、
 効果がなかったりとか、逆効果だったりした
 過去の経験などから、
 他者に手助けを求めようという気持にもうならなくなっていること。

 などがあるそうです。

 これ、こもる人と家族の皆さんの気持ちとほとんど一緒じゃありませんか。

 この場合、どんな風に関わるとその人たちが楽に他者の協力を得られるようになるかというと、

 今何が起きているのかの、情報提供が一つ。
 また、どこにどんな支援者がいるかの情報提供が一つ。
 そして、その人が信頼している人から、専門家の協力を得ることを勧めてもらうことが一つ。

 それから、その人が誰かの手助けをすることが一つ。
 これで、助け-助けられる関係に慣れると、他者の協力を得ることの抵抗感が減るのだそうです。

 これってホント、
 本人グループや親の会でやってることと一緒ですね。

 援助要請研究の視点から、これまでの本人グループや親の会の効果が検証できそうです。

 援助要請行動という新しい視点を手に入れて、
 また新たにひきこもり・不登校を理解できそうなワクワク感でいっぱいなのでした。
 
   


Posted by 聞風坊 at 06:00Comments(0)本の紹介


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