集団が愚かになる話。『大衆の反逆』を読んで。

2019年08月30日

スペインの哲学者・オルテガの『大衆の反逆』を読んだのでした。
http://www.chuko.co.jp/zenshu/2002/02/160024.html

その感想です。

民衆が主権を持つ民主主義によって独裁政権が生まれ、
第二次世界大戦に突き進みだした頃の著作だそうです。

不満やうっぷんに閉塞感に耐えられなくなり、
これまでのやり方を全否定して、新しいナニカに熱狂して、猪突猛進すると、
手ひどいしっぺ返しを食らう。

だから、
これまでの人類が試行錯誤してなんとかいい世の中にしていこうと奮闘してきた成果である
過去の英知に倣って、

今どうすればイイかをしっかり考えて実行する。

少しずつ改善する。

それが一番着実で改善効果的。

そしてこれは、過去の人々の声を聴き、
過去の人々に思いを致し、
過去の人々に重きを置く。

これはつまり、
他者の声を聴くと言うこと。
その中には過去に生きた人、つまり死者、の声を聴くことも含む。

独りよがりにならず、他者の意見に耳を傾けて、
自分の行動を決める。
そうして少しずつよい方向に歩む。

オルテガの思いを
私は、そんな風に受け止めました。

読後、思いついた言葉は、

温故知新。
古典に倣う。
です。

現在、

自分たちこそ正義であり、知る権利や報道の自由があるからと、
何をしてもいいと思ってるようなメディアや、

科学的なことが一番正しいからと、
科学の常識に当てはまらないことは全部捨て去っていいと考えている科学者や、

科学重視、エビデンス重視がブーム・風潮だからと、過去の一切を否定したり、
例えば、エビデンスの多く比較的新しい認知行動療法のみ価値をおき、
精神療法の開拓者であった精神分析を軽蔑よろしく頭ごなしにけなしたり、

自由にしていい権利があると数に任せて力任せに制度を改変して運用したり、
例えば、抑圧されてきたグループの中で多数派の力を手に入れたので、
今までのやり方、少数派の思いを一顧だにせず自分勝手に行動したり、
果ては少数派を排除したり、

当事者こそ主体なのだから、一番重視されるべきなのだから、
当事者である自分たちは、当事者をこそ名乗れば、
当事者でない者は、自分たち当事者に従うべきだと言わんばかりに
社会に働きかけたり、

そんな、
自分のことばかり考えて他者との協調に心を配らなくなってしまう、
何をしてもいいと自分に許可を与えたかのような、
または、
何者かから許可が与えられたかと錯覚したような、

そんな幼稚な愚かさを戒めます。

そして、
過去の積み重ねがあるから今があるのであり、

未来に誇れる今を暮らしていかねばならないと改めて思うのでした。

独善に陥らず、謙虚に生きる。

自戒します。



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