リスク回避に焦点を当てたひきこもり支援のアプローチ

2021年01月16日

学校関係者の、家が居心地がいいから学校に来ないで家にいる。
という認識に反して、

ひきこもりや不登校している人は、

自宅・自室がイイ!
と言うより、

自宅・自室の方が、自宅・自室以外よりまだマシだ。

との思いが根底にあるように感じます。

自宅・自室にずっといるデメリットはあるけど、
外界(路上・公共の場・公共交通機関・職場・学校・教室など)のデメリットよりは少ない。

と状況を評価しているように思えるからです。

これは、
デメリットはどれくらい?
と、自分が受ける不利益を基準に状況を評価していると言えます。

その状況にどれくらいの利益=メリットがあるか?
ではありません。

そのため、
外界の魅力・メリットをたくさんたくさん何度も何度も伝えても外出行動を増加する効果が上がりません。
例えば、おいしいものを食べに行けるよ! 遊びに行けるよ! お金稼いだら欲しいもの買えるよ!

デメリットに注意を向けているので、
いくらメリットを訴えても、心に訴えないのです。

おいしいものを食べに行く際の緊張感=デメリットに注意を向けるので、

だったら、
緊張感は低いので家に居る方がまだまし。食べるものはそこそこおいしいし。
家でも十分楽しく遊べるし。
そもそも、そこまでして欲しいものはそんなにないし。
だいたいお金稼ぐのに緊張で疲弊したくないし。
こんな風に考えます。

そうして、外界との接触を控える。

さて、
こう考えると、外出を勧めるとしたら、
外界のデメリットが自宅・自室のデメリットよりも少ないこと。
または、
自宅・自室のデメリットが外界のデメリットを上回ることを主張することが効果的でしょう。

このデメリットは、リスクとしてとらえるとより現実的かもしれません。
リスク≒デメリットの可能性。のような感じですね。

今のところ、外界にいるデメリットの方が自宅・自室にいるデメリットを上回っている。
つまり、
外界にいると自尊心や自信や心の安定や喜びなどが失われていく、
または、屈辱感や恥や気持ちのざわつきや不安や恐怖や怒りをこれでもかと獲得してしまう。

自室にいると、それらはだいぶ少なく暮らせる。
またはコントロールできる。辛抱できる。

だから自宅・自室にいる方を選んでいる。

だけれども、
今の生活を続けていると、
健康を害し、社会との接点を失い、いざ社会と接触せねばならなくなったときに大きく戸惑ってしまう。
※リスクが高い≒デメリットが生じる可能性が高い

一方で、
多少の損害は被ると予想されるけど、今少しでも、社会とつながりを持っていれば、
そうして社会のやりようを知り、時代と共に変わる社会でのやっていきようをアップデートしていれば、
いざというときにも、大きな損害を回避して対処できるだろう。
※受忍できるであろうほどの目先のリスクはあるが長期的なリスクは軽減。

と考えるならば、
外界接触の動機づけになるかと思われます。

つまり、
リスクに対処してこもっているのだから、

こもることがより大きなリスクを負っていることを理解できれば、

よりリスクの少ない暮らし、つまりそれなりに社会と関わりながら生きていくことを、
選択するのだろうと思うからです。

事実、私聞風坊も、このままじゃヤバイ!
との思いから、健康を目指して、歯医者や内科や精神科に通いました。
人とのつながりを保ち、外界に出ることも頑張って続けました。

リスクやデメリットに意識が向いている人には、
今のままでいることのリスクやデメリットを伝えることが変化を起こす役に立つこともあるようです。

視点を変えて、
こもる人の立場に立って考えれば、
つまり当事者の利益を考えるならば、

リスクを減らすためには自分はどうすればイイか?

ということを常に考えて日々を生きることは役立つかと思います。

ひきこもり生活を始めた動機がまさにそれであるように、
充実したひきこもり生活のポイントなのかもしれませんよ。


タグ :リスク回避

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