就労支援開始が、ゴールである話

2020年11月29日

ひきこもっていたり、不登校していて卒業したりした人は、
その人が、
就労を意識するかしないか、
就労したいかしたくないか、
就労できる状態か、
できない状態か、
に関係なく

なぜか就労支援することが決まっています。
支援世界の風潮として。

でも、みんな知っています。

違うよねぇ。

まだ早いよねぇ。

やることあるよねぇ。
就労支援の前に。

ってことを。

そうなんです。
やることあるんです。
就労支援よりも重要な、

その人が生きる上で欠かせないことが。

それは、

この世でやっていくと腹をくくること。

この世でやっていけそうな気がすること。

人と渡り合えそうな自信が少し持てること。

実は、この世は思ったほどあらゆる場所が危険ではないと実感すること。

(親の意向など)世の中には、気にしなくてもいいことがあること。

などなど。
生きる上でとてもとても基礎的な、基盤となる感覚が。

これらを得るためには、
そう思えるような誰かとの関係がいくつもあることがこれまた重要です。

それはつまり、
こもる人たちとアクセスできる人たちとの関係強化がいの一番。
ということを意味しています。

候補として白羽の矢が立つのは、
家族になります。

世の中で、こもる人と接点が多いのはやはり家族だからです。

それは、
すれ違う一瞬の接触かもしれません。
気配を感じるだけかもしれません。

でも、それができるのは家族しかいないからです。
※というさしあたりの設定ですが。

だから、
家族関係の強化支援がまっ先なんです。

でも、
既存の相談窓口ではこれができるところがものすごく少ないんです。
地域によっては皆無と言っていい状態。

だから、
ひきこもったままの状態が何十年も続くんです。

支援の基本は希望です。
支援対象者が支援を受けようという気になるのは希望を持っているからなんです。
自分の希望を叶えるために、他者を頼る。
他者を頼れば希望が叶う(かもしれない)。と思ったからです。

これに応えるため、支援者は、
希望があることを提示することが先決です。
そして、それを実感してもらうことも。
※そもそも支援者が実感していないとなりません。

こうした条件がそろって、
はじめて支援が成り立ちます。
希望に向かって一緒に進んでいくんです。
それが支援。
※ちなみに伴走支援って表現は嫌いです。だって走るのはシンドイもの。

(生きていく)希望を持つことを目指し、いろいろ頑張ってきて、
それがある程度達成できたので、
就労支援が開始となる。

一大事業をやり遂げたから始まる。

こう考えると、
就労支援を受ける。
と言うのは、さしあたりの目指すところ。
ある意味ゴールとなるでしょう。

・・・。

ところが、リアル人生は続いていきます。
ゴールにたどり着いたからと言って終わらない。
その先がまだまだある。

実のところ、
こもる人目線でいうと、就労支援の先を見すえています。
そのため、実感としては、
就労支援は終わりであり始まりでありです。
社会から距離を置いた生活が一段落して、社会の中でもまれることのいよいよ始まりです。

就労支援の中での職業体験や、セミナーや、なんやかんやの手続きも、
社会でやっていくことの始まり。
求職活動も始まり。
働き出すことももちろん始まり。
職場の人たちとあれやこれやとやっていくことも始まり。
仕事帰りのあの独特の雰囲気も新しい生活リズムの始まり。
仕事に向かうあのせわしない殺気だった世間の雰囲気も。

社会でやっていくってことは、
今までやっていなかったあらゆることを始めなければならないということです。

だから、
始まりなんです。

一応、社会でやっていくと腹は決まったけど、やりだしてみるとなかなかしんどいことばかり。
一度弱音を吐いたら元の木阿弥。
みたいなプレッシャーを感じながら、
次から次に新しいことに、戸惑いながら挑戦していく。

だから、
緊張します。
戸惑います。
疲弊します。

これをほぐして、また新しい始まりを迎えます。
こういう生活を始めます。

そうして暮らしていくことの始まり。
それが就労支援の始まり。

支援者の世界では、就労支援につなぐことは入口問題といわれています。
都合、就労先の開拓などは出口問題となります。
就職先がないと支援の出口が見えないとなります。

でも、
本人にとっては、全部が入口問題なんです。
見知らぬ世界に入っていくことばかりだからです。

これから、
ゴールなしの歩みを続けていかねばなりません。
まさに人生を歩み始めるのです。
自分の足で。
それが自立。

このようなことから、支援者は、
支援している相手が、
ゴールとスタートが次から次に連なっている終わりのない歩みの中にいることに思いをいたさねばなりません。

寄り添うってそういうことなんです。



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Posted by 聞風坊 at 06:00│Comments(0)不登校ひきこもる
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