ごほうびはいらない。依存の話

2020年10月16日

私たちは、
忙しい仕事、難しい勉強、緊張する人間関係、迫る〆切など、
頑張って嫌な状態を辛抱したごほうびとして、
自分になにかを与えることを一般的にやっています。

それで、
心のバランスを保つためためですね。
もしごほうびがなかったら、なんだか損した気分になります。

ごほうびとして自分に与えるものとしては、
アルコール、ゲーム、お菓子、ごちそう、スポーツ、パチンコ、読書、映画鑑賞、音楽堪能、気の置けない人とのおしゃべりなどなど多種多様です。

なんでも
自分の喜びになればごほうびになります。

ところがこの、ごほうびの取り方には、
注意が必要なんです。

特に、
とっても頑張っているとき、
嫌なことを辛抱強くやっているとき、
忍耐強く我慢しているとき。
のごほうびには。

とっても頑張っているときの心の状態はとってもハイテンション。
心は緊張で張り詰めています。

忍耐強く重圧の下で頑張っているときは、いつかくるその時に備えて動き出すためのエネルギーを密かにためている。
見た目では分からないけど、エネルギーは噴火を待つマグマのように身体の内側にうごめきながら溜まっている。
言わばハイボルテージ状態。

だから頑張れる。
無理してでも頑張れる。
疲れも感じず、ストレスに負けず。

こんなハイテンションやハイボルテージの状態で、ごほうびを取るとなるとどうなるでしょう?
皆さんご存じ、
たくさんたくさん、これでもかと取り過ぎてしまいます。
貪欲なまでに、ごほうびを取りまくる。
アルコールを飲みまくり、カラオケで歌いまくり、スイーツを食べまくり、ゲームをしまくり、おしゃべりしまくり・・・。

その結果、どうなるでしょう?
生活習慣病の肥満から始まる身体の病気や、依存症(アルコール・ゲーム・ギャンブルなど)の多くはストレス対処のごほうびが過ぎた結果でもあります。

ハイテンションやハイボルテージな状態でごほうびを取ろうとするとこうなります。
心に勢いがついているからでしょうね。

そもそも、ごほうびなんだから、たくさんあった方がイイ!
山のようなごほうびは正直なところ至福です。
でも・・・。
なんですね。

では、
害を与えないようにごほうびを手にするにはどうしたらいいでしょう?

まずは、ハイを下げるのが最優先のようです。
テンションやボルテージが高すぎるので、必要以上にごほうびを取り過ぎるからです。

心がハイテンションやハイボルテージで高ぶっているときは、
呼吸が浅く激しい。
身体のそこかしこの筋肉がこわばっている。
頭の中では思考が駆け巡って止まらない。
鼻の穴も広がっているかも。

これらのサインに気づき、
呼吸を深くゆっくり、
身体を動かしてこわばりをとり、
意識をそれらに集中することで思考が駆け巡るのを止める。

もはや、自分を苦しめる重圧はないことを。
抑圧から解放されたことを味わう。
ほっと一息。

そうして、穏やかな心と身体の状態を取り戻す。
その上で、必要なごほうびを手にする。

それは、
きっとちょうどいい分量でしょう。

なぜならもうすでに、
平穏という一番のごほうびを手にしているからです。




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