トラウマの元に気づくまでの道のり

2020年09月10日

どうにも子どもの頃から、強く深く心に傷を負っていた私なのですが、

最近、その大きく深い傷の一つが分かって、セルフワークしたところなのです。

そのざっとした記録をここに残して、

なんかあるのは分かるけど今ひとつはっきりしていないトラウマで苦労している同朋のためになればと願います。

1.なにかしらの引っかかり
どれほどワーク・心理療法しても、なにかしら残っている感じがしていました。

2.実家に関することについてひどく動揺する
実家に関することやその地域の話題について見聞きしたり、心に思うだけで、胸のあたり、胃と心臓の間あたりがズーンと重くなるんです。

特に実家に関することについて考えると、あれも起きそうこれも起きそうと悪い空想が次から次にわき起こり、とても不安が強くなり、とっても興奮して、その後、激しく落ち込むんです。
挙げ句、背骨の力がふっと抜ける感じがして、身体を起こしていられなくなっていました。
実際以前は、しゃがみ込んだり、寝込んだりもしていました。

家業跡継ぎとしてこの世に生を受けた私です。
お前が継がないと私たちの人生が終わってしまうとして、もう物心ついた頃には私は両親からしっかり重責を負わされていました。
そうしてことあるごとに私をひどく迫害していたのでした。

これは両親からのひどい仕打ちなので、これまでこの心理的手当てをずっとしていました。
一言でいうと、両親からの呪縛の解除です。
このブログにももちょこちょこ記しているように、長年の取り組みでだいぶ成功してきていたんです。

とはいえ、それでもどうにも引っかかりがあるんです。
何かがひっかかっていて、スッキリ自由に楽になれていない。

謎でした。

最近また実家のことでひどく動揺することがあって、そのときふと気づいたんです。

あ、実家の建物そのものにトラウマがあるんだ。
って。

ふっと腑に落ちました。
直感的にすっきり納得しました。

そこでチェック!
実家建物のイメージを改めて感じ取ってみる。

そうしたら、
私が抱いていた実家建物のイメージは、逆光に照らされた瓦屋根の黒い巨大なシルエットでした。
いわば恐ろしい屋敷。お化け屋敷やホラー映画のあの重苦しく恐怖をあおるあのシルエットの感じです。

そうなんです。実家建物そのものが、私の脅威だったんです。


3.家へのワークをやる
黒く大きなシルエットの我が家が自分を圧倒して制圧している。
でも、それは事実ではない。実はもはや建物はこの世に存在していないから。
つまり、妄想が自分を追い込んでいる。
そう認知した私は、

黒く大きなシルエットが及ぼす呪いを解除するワークを試みました。

まずは、そのイメージをうかべ、そのときの左胸の重圧を感じながら、タッピングと目の運動を繰り返しました。
ほぼ脅威は感じなくなりました。
※「恐怖条件付けの消去」に当たるでしょうか。ちなみに最新のトラウマケアの最後の方でやるやり方です。

これで解決
・・・
していませんでした。
まだなにかひっかかるんです。
残りかすというか、こびりついている感じ。
はがしきれない黒いペンキが身体の内壁にペロンと残っている感じ。

まだまだ終わらない。

これをどうするか?

そのとき、 ふと手もとにあった本を開きました。
虐待者は患者の「中に生きて」いて、絶対に「逃れられない」という恐怖を生じる

『児童期虐待を生き延びた人々の治療 -中断された人生のための精神療法-』
(メリレーヌ・クロアトルら著 金吉晴監訳 星和書店2020 p297)
の記述に出会いました。

これです!
虐待した物が私の中にいるのです。
心の内、身の内壁にまだ張り付いて残っているんです。
実家建物の黒ペンキシルエットが。

タッピングや眼球運動という神経的なアプローチではきれいに除去できず、こびりついていたこのペロンをどう除去しようか?

考えていたその時、またありました。
息を吸うときに身体の内に光が入って、吐くときに黒い悪い影を吐き出すく呼吸法です。
『自傷行為治療ガイド(第2版)』(バレント・W・ウォルシュ著 松本俊彦監訳 2018 p307)

これがイイ!

もうすでに剥がれかけたペンキの膜となっていた実家のシルエットをイメージして、
息を吸うときに、影を消し去るまぶしい光が身体の中に入ってくるイメージをして、
息を吐くときに、身体の内壁から、悪い黒いペンキの膜が剥がれて外に出て消え去るイメージを繰り返したのでした。

だいぶ楽になりました。
なんだか、勝った気分にもなりました。
痛快と言えば痛快。

まるで、
黒い悪いものが私の身体の中に巣くっていたように。

アメリカのテレビドラマ「レギオン」では、
主人公が子どもの頃に頭の中に不気味で恐ろしいミュータントが住み着いたという設定でしたが、
私も同様な状態で大人になり、中年を迎え、やっと身の内に巣くう不気味なモンスターに気づいたのでした。

改めて思い返せば、
車の運転がとても嫌なのです。苦手と言うより心底嫌っている。
また、
高校1年の製図の時間に、理想の我が家を描く課題でまったく描けなかったことがありました。

家の修理も心底イヤなんです。もともと工作は得意なので、実際は上手に修理しているんですが。
失敗したらとんでもないことが起きそうな気がして、ほんとにものすごいストレス。

家がある地域の話題でも気が変になるくらいのストレスを抱えていたのです。

学齢期には、
学校からはまっすぐに速く帰宅しました。気がかりなんです。家が。

友だちと遊びに行くときもいつも家のことが気になっていました。

親にだけではなく、家になにかが起きていないかと怯えていました。
だからある意味一目散に帰宅していた。

旅行にも行かず、外出も控え。
気をつけていないと家がなくなる。そんな恐怖を抱きながら、大きくなった気がします。
思い返せば。

これまでは、
親が家を壊すという恐怖だと思っていましたが、それだけでなく、純粋に自分の家が壊れる、無くなるという恐怖感を持っていたようです。

それは、
家が壊れたら家族みんな生きていけないという恐怖につながっています。

きっと自分のせいで。
自分の至らなさのせいで。

だから、
家のことを一番に、最優先に、家に害を与えるようなことをしないように、最大限気配りすることを至上命題にしていたのでした。
そうして50年生きてきた。
鍵締めの確認を強迫的にするのもきっとこの信念の影響でしょう。


4.サヨナラをする
まだ終わりません。
まだやります。
ここまで来てまたまたふと気づきまいた。
未完の仕事があったんです。

家にサヨナラをしていなかったんです。
だから、私の中にまだ家が存在していた。
黒く大きく不気味なシルエットとして、私の人生に文字通り影を落としていた。
その重圧が私を不自由にしていた。

もはや実家建物に対する恐れは持っている必要はない。
実家に関する重責は終えていい。
そんな気がしました。

実家建物についての思い出を思い出す限り走馬灯のように思い出し、
それはもう終わり。
これは過去のこと。
と言いながら、小さく縮めてフェードアウトさせていきました。
※NLP的ですね。

まさに、繰り返し学校帰りで家に入るときに大きくて威圧感を持った家の記憶。
もう無い。

家族が怒鳴り合う居間の記憶。
もう昔。

飲んだくれる親の背中をよく見た台所。
朝一で酒を飲む親の背中を見た流し台。
もういない。

太陽熱給湯と薪で沸かした風呂。
もう昔。

青春の自室。
ひきこもった部屋。
親が何度となく怒鳴り込んできた部屋。
もうない。

胸が熱くなりました。
そう、別れを悲しんだのでした。
サヨナラ。
家の思い出。

こうして、過去のことが過去に置かれ、
私は今に生きるようになったのでした。

ワークおしまい。

後日談。効果チェックとフォロー。
自動車の運転も、家の修繕も、その他諸々も、不必要な緊張から解放されてやってます。
自分なりのやり方で(自由に)やっている感じ。
きっとフツーの人がやっているように、そして感じている緊張の質・程度なのでしょう。
うまくいっている感じ。



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