当事者が持つようになる社会的役目感のこと

2020年07月22日

長いこと当事者活動をやってきていましたが、
そのなかで、当事者がある役目感を感じるという指摘があります。

病気やケガや被害は、実はとても個人的なことです。
その人が一身に苦痛を負います。
誰も身代わりになれません。

だから、
病気を患ったり、ケガを負ったり、被害を受けた当事者は、
誰とも自分の苦痛を共有できない孤独を感じます。

ところが、あるとき、
同じような苦痛にあえいでいる人が他にもいるのではないか?
自分のことを表明することは、自分と同じように苦痛にあえぐまだ知らぬその人たちのためになるんじゃないか?

広く見れば、それは社会のためになるんじゃないか?

なんてふと思い立つことがあります。

自分のことが他人様のことにもなり、
社会全体の福利のことにもつながるという感覚を持つのです。

これが、
当事者が感じる社会的役目感です。

新型コロナウィルスが猛威をふるい、世界中の人々が未知の恐怖におびえています。

感染した人や感染リスクのある人は、そんな世間の恐怖の標的となり、
差別、排除を受けています。

先日テレビのニュースで、
回復した新型コロナウィルス感染当事者の人が、自分のことを知らせることが、差別の解消に役立つとして、あえて自分のことを表明しながら仕事をしている姿が報道されました。

自分という当事者のことを世間に知ってもらう。

当事者活動の原点をみた思いでした。

私もひきこもり当事者、アダルトチルドレン当事者のことを知ってもらうために、
20年前に当事者活動を始めたのですが、

このニュースに接し、
その頃の思いを改めて感じることとなったのでした。

当事者活動は、よい社会を作るためにある。

この一点にこだわってやっていくのだと思っています。



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