予防という発想がおぞましい話

2020年03月01日

介護状態予防。インフルエンザ予防。メタボ予防。ガン予防。
新型コロナ感染予防。

不登校予防。ひきこもり予防。ニート予防。

非行予防。退学予防。

困窮予防。虐待予防。

世の中は予防が盛んです。

私たちは、なぜこんなにもいろいろなことについて予防するのでしょうか?

それは、
予防したい状態がとっても苦痛だからみたいです。

介護や看護が必要な状態は、心と身体の苦痛を伴います。

困窮や虐待もそう。

ありていに言えば、
それらは悪い状態です。
悪い状態にならないように予防する。
そういう発想でしょう。
おおむね納得いきます。

一方で、不登校やひきこもりの場合はどうでしょう?

そのほとんどが、
学校にいる状態、社会にいる状態が苦痛だから、
自宅などの学校や社会以外の場にいることを選んだ状態です。

つまり、苦痛は軽減している。
だから、苦痛ばかりの学校や社会にいるよりは健康なんです。

ありていに言うなら、
不登校状態やひきこもり状態は、よい状態なんです。
健康的な状態と言ってもいいくらい。

すると、
不登校やひきこもり状態になるのを予防するいうことは、
よい状態になるのを予防するということになります。

なんだかよく分からない話です。

※非行の場合は、
非行することで痛みが軽くなる、痛みから(一時的に)逃れられる、学校や社会か家庭にはないけど非行グループの中に居場所がある。
だから非行していると解釈されます。

また、
不登校してる人やこもる人の中には、不登校やひきこもりが自分たちらしさと重なる人たちがいます。
学校や社会に行かない今の状態が、まさに自分らしい生き様だという風に。
不登校やひきこもりじゃなくなったらそれはもう自分じゃない! というぐらいに。

そんな人たちは、
不登校やひきこもりの状態だからこそ、かろうじて自分はこの世に存在できている。
そう思っているかと思います。

ところが、
不登校・ひきこもり予防となると、そういう生き様、自分らしさは、イケナイことになります。
ありていに言えば、
悪い。
そんな存在の仕方は。

だから、予防せねばと発想するのですものね。

不登校、ひきこもり予防。
これを、
不登校やひきこもりが自分たちの生き様、存在形態になっている不登校の人やこもる人はどう受け止めるでしょう?

自分たちはイケナイことをしているイケナイ存在なんだ。
社会からは認められていないんだ。

学校や社会や家族や支援者や大人たち・・・は、
自分たちをウィルスみたいに駆逐しようとしているんだ。
との想いを抱きそうだということは想像に難くありません。

実際問題として、
不登校やひきこもりは社会の悪い見本として認識されているようですから、無意識に駆逐撲滅の対象とされているようです。

不登校やひきこもりしない社会の実現を目指すとき、撲滅の無意識が働いているように思えます。

だって、
不登校のまま暮らせる社会、ひきこもっていてもやっていける社会の実現。じゃないですもの。

不登校、ひきこもりの予防。
この発想には、こんなおぞましさが潜んでいるんです。

気をつけましょう。
とりわけ、予防に熱を上げる研究者の人たち。
予防じゃなくて、学校や社会でやっていける方法を開発することが、結果的に予防になるように思いますよ。




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