自助グループは、今の仲間だけのことを考えてるんじゃないという話

2019年11月23日

 『当事者研究と専門知 生き延びるための知の再配置 臨床心理学増刊第10号』(熊谷晋一郎責任編集 金剛出版 2018)
 http://kongoshuppan.co.jp/dm/75010.html

を読んだのでした。

 綾屋紗月さんが指摘する自助グループの関係には、仲間としての横の関係と先輩後輩としての縦の関係があるという指摘がとても心を打ちました。(p9)

 自助グループは同朋関係の効果ばかり取り沙汰されがちですが、同じくらい重要なのが、過去現在未来という時間軸での縦関係なんです。

 先ゆく人なんて言われることもあるのですが、自分より前に問題に取り組んできた、取り組んだ先人の奮闘の財産を今のグループに引き継いでいるんです。

 だから、自分たちの変化と成長がある。

 それは先人がまだ見ぬ人である未来にグループにつながる人=つまり私たちへの思いやりから、
残してくれたものが、作用しているからなんです。

 過去連綿と受け継がれてきたそういう縦関係の基盤の上に、私たちはグループ活動できているんです。

 だから私たちは、未来を見すえねばなりません。

 まだ見知らぬ仲間のために、どんな財産を残せるか?

 それは、自分たちがよく生きることにほかなりません。

 よく生きられなかった私たちが、グループの先人達が残した英知に触れることで、

 よく生きられるようになった。

 それをまた財産として残し、未来に受け渡す。

 そうして、思いやりが伝承されていきます。

 そんな思いやりの流れの中にいる自分を実感し、孤立は癒やされ、成長がなされるのです。

 自助グループの縦の関係の話でした。



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