ひきこもり関連支援制度の移り変わり

2019年06月15日

 新元号にあらたまった昨今、

 ふと思い立ち、
 平成のひきこもり関連支援制度の移り変わりを振り返ってみます。

 まず、
 発達障害者支援法の制定 H16

 発達特性のために、いろいろ困難を抱え、学校や職場でうまくやっていけず、
 ひきこもる人は多いのです。

 法に基づいた専門機関や専門家が生まれ、
 専門知識の蓄積により、
 特性に合ったサポート、合理的な配慮によって、
 発達特性を持つ人が自分の居場所を見つかりやすくなり、

 発達特性のために、
 社会からひきこもらなくてもいい環境が整ってきました。

 次に、
 若年無業者・ニート問題に端を発する
 若年者就労の問題のための施策が始まりました。H18~

 20代前後の若年層が仕事に就けない問題に対処するため、
 地域若者サポートステ-ションやジョブカフェ、ヤングハローワークなど、若者に特化した就労支援が始まりました。

 また、学齢期から仕事について意識を高めるいわゆるキャリア教育が学校で始まりました。

 ところが、
 ひきこもり=ニートとして、若年者就労問題でひきこもりを解決しようとしてしまったことで
 ひきこもり問題をややこしくしてしまいました。

 ひきこもりは働いていないだけの状態じゃない。
 働きたいのだけど、どうにもうまくいかずに困っているだけなんだ。
 と言う理屈です。

 確かに、
 仕事に就けないのは自分の何が悪いのか分からない。
 どうすればいいのか分からない。
 そんな若年無業者のためにはとても助かる若年者就労支援制度です。
 サポステ、ヤングジョブ・・・。

 そして、
 学校を卒業してからのそんな苦労を減らすために
 学校でのキャリア教育、キャリアサポートの実施は効果を発揮します。

 でも、
 学校に行けない、サポステに行けない、
 そもそも外に出る意欲を失っている。
 状態の人には効果がありません。
 就労困難がポイントじゃないからです。

 恐怖におびえながらやっとこさっと就労支援の窓口にやってきたこもる人に、
 無理やり就労支援をして、より強くひきこもるという逆効果にすらなりました。

 こもっている人に就労支援は必要です。
 でもそれは、
 心と身体がだいぶ元気になって落ち着いてきて、働けそうだなと思いはじめてからの話。
 恐怖におびえてこもっているときではありません。

 そんなこんなで、次に、
 厚労省が率先して、
 ひきこもり地域支援センターが設置されはじめました。H21~
 
 ひきこもり支援の地域の中核機関として設置が始まりました。
 支援が進む! 全国のひきこもり関係者の期待を一身に背負いました。

 開始から10年。
 正直、今ひとつ力強さに欠けています。

 なぜか?
 準拠法がないからです。
 これがきっと理由です。

 ひきこもりを支援するにあたっての国民がすべて従うべきルール、頼るべきルールである法律がないのです。
 器は作ったけど、どう運営していっていいかが不明なところが多いようです。
 都合、力強さに欠ける。
 
 そのため、
 「ひきこもり支援」の準拠法が希求されていました。

 やがて、
 生活困窮者自立支援法H25
 が制定され、
 「生活困窮者」として「ひきこもり」が想定されました。
 現に困窮しているか、将来的に困窮する可能性が高い人として、
 「ひきこもり」を支援対象としています。

 将来的に困窮者となるリスクが高い人としての「ひきこもり」
 なので、今まだ余裕のある内に支援開始して、長い期間支援する。
 この発想は、妥当な感じはします。

 問題は、
 自立支援法なのでジャンルとしては就労支援制度であることなんです。

 就労支援でのひきこもり支援。
 ニートのときに大失敗した同じ轍を踏まないようにせねばなりません。
 
 就労している状態を遠くの目標に起き、
 まずは、
 働けるぐらいに心と身体が健康になることを目標に支援すればいいように思えます。

 さてこうして、
 平成のひきこもり支援制度を振り返ってみると、

 ひきこもりの本丸の外堀が整備されてはきたけど、
 本丸には着手されていない感は否めません。

 つまり、
 ひきこもらず、他者となんとか接触できるようになったら、
 支援の手が割とたくさんあるようになったけど、

 ガッチリひきこもっている場合は、
 依然として支援できない状態は変わらないと言うことです。

 日本の制度の特徴でもありますが、
 福祉的サービスなど特別な配慮を求める場合、医師の診断が必須なのです。
 その人に特別な配慮がいるかどうかの診断を下せるのは医師のみなのです。

 診断書があれば、いろいろな支援が簡単に利用できます。
 訪問系の各種医療サービス、障害者就労支援、居場所、公共交通費減免等々、

 でも、
 診断書がなければ、必要と思われる支援は受けられません。
 
 こもっている人は、その困難さの特質から、
 医療につながりづらいことは誰しもが知っています。

 こう考えてくると、
 こもっている人のように、
 本当に医療・福祉が必要な人が、
 医療・福祉につながらないという医療福祉制度の不備は否めません。

 こんなことから、
 制度利用の妥当性を判断するための制度の確立が必要に思えます。

 ひきこもる人や家族に会って、
 ひきこもる人や家族が
 その人たちをサポートする制度の利用が妥当かどうかを見立てるだけの人材を配置する制度とか。

 病名などの確定診断。
 障害状態などの確定診断。
 はサポートを受けた後に、時間をかけて医師がしっかり行うような制度。
 が確立されたらいいな。

 そんなことを考えたのでした。



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