つい悪い方に意識が向いて嫌なことから逃げてしまう研究の話

2019年08月20日

京都大学白眉センター・霊長類研究所の雨森賢一さんたちの研究によると、

京都大学HP
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2018/180809_5.html

私たち人間に近い脳機能を持つ霊長類である猿の脳の尾状核という部分を繰り返し刺激すると、
罰を受けそうだ、嫌なことヤバいことが起こりそうだという判断を下しやすくなるそうです。
そしてその傾向はずっと続くとか。

こういう悪いことが起きる。
だから何もしない、関わらない。

という意思決定を繰り返すと、

そういう性格が形作られたり、
極度に達すると強迫(症)的な状態になることが考えられそうです。

人は、何か出来事に遭遇すると、
それによって得られる利益と損失を考えます。

あら、いいことじゃない!
ラッキー! ハッピー!
なら、その出来事を受け容れる行動をとります。
真夏のキャンペーンくじ引きで、なにかが当たる! となればくじを引きます。

でも、
そのために100万円の買い物をしないとならないとか、
くじを1回引くたびに乾電池による電気ショックを受ける。
となると、悩んでしまう。

この悩んだときに、どうするか?
どう意思決定するか?

この中核を担うのが尾状核らしいんです。

電気ショック1回で10万円の旅行が当たるんならクジ引いてみよう!
と損害を引き受けて積極的に利益を取る行動をとろうと意思決定するか?

電気ショック受けたとしても旅行が当たるとは限らないし。
と損害を引き受けず消極的に何もしない行動をとろうと意思決定するか?

の判断に大きな影響力を持っているのだそうです。

尾状核が、
これは害が大きいぞ・ヤバいぞと反応しやすくなっていると、消極的・回避的な意思決定をしやすくなるとか。

そしてこの意思決定は、大脳とは別に行われるようです。

たとえば、
頭では、乾電池程度の電気ショックで死ぬことはないわ!
と分かっていたとしても、
それでもやっぱり大きな危険があると見積もって、くじを引かない意思決定するとか。

頭では怖くない、危険はないと理論的に分かっていても、
なんかヤバイ感じがする。
だからやらない。

の仕組みが解明されそうな研究みたいです。

将来的には、
きっと怖いことが起きる。きっとまずい方に転ぶ。
という予想・予感から、
何もしないことを選ぶことで、
生活しづらくなっている人たちの治療法にもつながるとか。

こもる人、トラウマを負った人の多くが関心を持つ研究のように思えます。




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