Webひきこもり家族教室10 こもることを助けないように2

2015年03月22日

 Webひきこもり家族教室の第10回最終回です。
前回の続きです。

 だからといって、
無理やり社会参加の訓練をしてストレス耐性を付けろと言っているのではありません。

 こもる人について、
「もっと強くなって欲しい」「乗り越えてほしい」という家族の願いを聞くたびに、
 機関車にぶつかっても平気な人になって欲しいとでも思ってるような錯覚を覚えます。
 強さばかりを求めるのは現実的ではありません。
人は元気で強くいられるときと、うまく力を発揮できない弱っているときの2つのときがあるのです。

 疲労したり、傷んだり、病んだりしている弱っているときは、そのケアが最優先。
ケアを安心して受けられることが一番大事なのです。
 このときは鍛え上げるときではありません。ちっ、ちっ、ちっ
 ケア・手当てするときです。

 こもる人については、
 まずは、
こもる生活を充実させるとき。
 その次の段階が、
他者・社会と折り合いをつけて生活することを学ぶとき。
 となります。

 そうして、
自分も大切にしつつ、他者も尊重する生き方。
 そういうものを身につけるのです。

 そして、そのためのおだやかな手助けが必要だということです。
 独りで頑張らせてはなりません。


 またそれは、
 いたずらに今のこもる状態で生活することを助長する支援ではありません。
それは、ひとりぼっちで生きることを促進することになるからです。

 前述した通り、私聞風坊は、
こもる行動は脅威から自分を守るための退避行動と考えています。

 ですから、本質的な問題解決は
 イジメや過重労働などの脅威を無くすことや、
 いろいろな脅威がありつつもよく対処できるようになることで、
脅威から逃げ続けることを促進することではないと考えています。

 別の視点では、こもる行動の動機となる恐怖感情や不安感情は、脳や精神機能の働きがうまくいっていないことが原因の可能性もあります。
 有り体に言うと、病気の症状としての極度の恐怖、過度の不安の可能性があるということですね。

 病気ならば、治療すれば改善します。
にも関わらず、
 こもることを勧めて、その状態を維持しようとする行為は、病気の手助けをすることと一緒です。
治療をしないことで、病状が進行することはざらです。
 ありのままとして何も手当てしないことは、病気を悪化させることになりかねないのです。

 このようなことから、
家族・支援者は、将来的に多大なリスクを伴う現状のこもる生活を手助けしてはならない。
 と思っています。

 こもる人の気持ちを尊重しながらも、
通院治療、復学復職、進学、就労支援など必要な手当はなされなければなりません。

 今のこもる生活もOKに暮らせるし、
他者・社会と関わってもOKでいられる暮らし。

 両方の生活スタイルがバランスよくできるようになる。

支援は、そこを目指すべきだろうと思っています。

気持ちに共感し、支えながら、
行動パターンを増やしていく。
 そういう手助けですね。

 このブログがその一助になることを願って、Webひきこもり家族教室第1シリーズを閉講とさせて頂きます。
長期間の御受講ありがとうございました。


参考書籍 拙著
『こもって、よし! ひきこもる僕、自立する私』(鉱脈社)
『「親」を育てる「ひきこもり」』(私家版)



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