Webひきこもり家族教室3 さしあたりめざすところ

2015年02月14日

 家族の人から、一番よく訪ねられる一言は、
「どうしたらいいのでしょう?」
です。

 これについての応えが、
「待ちましょう」
「見守りましょう」
「寄り添いましょう」
「受容しましょう」
という、とっても大枠のアドバイスが多く聞かれます。

 家族が
「すみません、もっと具体的にどうしたらいいか教えてください」
 と再質問すると、
「ご本人さんに会ってないので具体的には言えません」
 と決まり文句が返ってきそう。

 実のところ、その通りなので、私聞風坊も、この一言がのど元まで出かけることは少なくありません。
お会いしてもいない人同士の会話をアドバイスなんてできませんもん。
 でも、この一言が絶望を招く呪いの一言であることも知っています。
だから、ぐっと踏ん張ります。

 そして、
どんな風に会話されていますか?
 という主旨の質問をします。

本人と家族に、どんな会話の癖があるのかを見ようとしているのです。
 例えば、
「パートから帰ってきて、疲れてるのに、ご飯も作って、洗濯物も取り込んで、回覧板もご近所に回して、疲れたのよ。少しは手伝ってよ」
 と母親が言うと、本人は黙り込む。そして一週間部屋から出てこなくなる。
 を繰り返している場合、

 お母さんが気持ちを伝えると、黙り込む、関わらなくなる。という会話の癖があるかと予想します。
 この場合、お母さんの気持ちを伝えることは、こもる本人が社会参加することには効果を発揮していないようです。
 むしろ逆効果ですね。

 となると、こもる人の社会参加を目指すのであれば、さしあたりこういう会話をやめるという方法が考えられます。

 その代わりどうするか? ですが、
自分の思いを伝えるのではなく、こもる本人の思い・苦労を思いやって行動することがいい場合は多いようです。

 こもっている人は、他人の目、世間体、デキない自分、孤立してる感、言っても分かってもらえない感、そもそも胸の内のもやもやを言葉にできないもどかしさなど、ネガティブな思いで多くの時間を過ごしています。

 そのことに思いをやって、それを実際に言葉にしたり、労ったりすることで伝えるのです。

 家族なのだから、こもる人の辛さはなんとなく察していることですが、
にも関わらず、
「でもね」「だからといって」として、「このままじゃいけないよね」
 ばかりを口にし、強調することが多いのですね。

 そうなると、気持ちを思いやってくれていると言うより、要望、要求、義務、責務の方が前面に立ちます。
 それは、言われた方にすると、迫られた、責められた、せき立てられた、追い詰められた気持になるのです。

 こうなると、嫌な気持になるとこもる。という癖を持つこもる人は、すぐさまこもります。

 だから、自分の要望や要求ではなく、
実のところ察しているこもる人の気持ちに寄り添った対応をするのです。

 一日中、ストレスの中にいるのだから、美味しい夕飯を心地よく食べる。ただそれだけ。
 安眠できない苦労に思いをやり、少しでも心地よく朝が迎えられるよう、穏やかにお休みの挨拶をする。ただそれだけ。

 そうして、思いやりにもとづいた穏やかな会話が繰り返されると、
緊張はほぐれます。
 十分に自分のことを思ってくれている。敵じゃない。味方だ。そう思えてくるかと思います。

 そうしたら、
学校に行くことについて、行かないことについて、
働くことについて、働かないことについて、
 穏やかに話せるようになるかと思います。

 行くか行かないかの要求的な話し合いではなく、
 今すぐ働くのか、このままずっと働かないつもりなのか!?!? という行動を迫る会話ではなく、

 ○○について話す。
というちょっと距離を置いた話し合いですね。
 実際の行動は伴いません。だから、安心して話せます。

 こもる人、不登校の人の思いを家族が共有する。
さしあたり目指すところはここかなと思っています。

参考書籍 拙著
『こもって、よし! ひきこもる僕、自立する私』(鉱脈社)
『「親」を育てる「ひきこもり」』(私家版)



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この記事へのコメント
okattiさん
ありがとうございます。「どんな風に」待つのか、見守るのかという点が分からなくて、私も困っていました。
参考になって幸いです。
Posted by 聞風坊聞風坊 at 2015年02月19日 09:35
長年、「待つ」や「見守る」という姿勢に疑問を感じていたので、とても参考になりました。
ありがとうございます。
Posted by okatti at 2015年02月18日 07:27
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