Webひきこもり家族教室2 好き嫌いを知る

2015年02月10日

 我が身を守るため主体的にこもった。

 というのが私聞風坊のひきこもりにたいする基礎理解です。
だから、ひきこもりの人でなく、こもる人という表現を使っています。

 無意識に、関係を断つ、待避する、撤退する、
などの決断をし、実行していると考えています。

 しかしながら、無意識の主体性なので、今ひとつ力強さに欠けます。
そこで、主体的に生活することを促進します。

 ひきこもる生活を充実させるのですね。

 主体性を発揮するのに、一番シンプルな方法は、自分の気持ちにもとづく行動でしょう。

 しかも、
好き嫌い、快不快という本能的な感情です。

 ひきこもる生活の中で、自分はこれが好きか? 嫌いか?
心地いいか、悪いか?

 好きじゃないけど、そう嫌いでもないか?
別に心地悪くないけど、いいともいえないか?

 など、自分の体と心に訊ねます。

卵は目玉がいいかスクランブルが食べたい?
サンダルが履きたいかスニーカーが履きたいか?
眠りたいか起きていたいか?

 気持ちいい、心地いい、自分の意に添っているなどOKな気持ちの時は、
身体からこわばりはなくなっているもの。

 だから、首が緊張している、肩が上がっている、こぶしを握っている、足の指を丸めている、ノドが一瞬キュッと締まった、
など、身体にこわばりがある時は、OK感は十分ではないかもしれません。
 都合、気持ちよさ、リラックスども、比較的よろしい。という程度かもしれません。

 そんなことを、ありあまるひきこもる時間を使って、探索していきます。
自分を知る旅の始まりです。

 自分の感情に気づくことは相当な困難をともなうかもしれません。
自分をひきこもらせた、社会から隠れさせたのは他ならぬ自分の「感情」だった可能性があるからです。
 気持ちが高ぶって、感情に飲み込まれそうなそんな時は無理せず、一休み。
 たぶん、本音では探索を止め、休みたいのでしょう。

 そうして、時間をかけて自分の気持ちに気づくと、
自分は何がしたくて、何はしたくないのだということが穏やかに分かるようになります。

 そうなったら、
したいことをするのですね。

 したいことをするとなると、ちょっと恐い気がするかもしれません。
 でも心配いりません。すでにもう社会規範をとても強く身につけているこもる人は、規範から逸脱した行動はめったにとりません。
もしとったとしてもすぐに止めます。
 身動きが取れない原因の一つは、内なる強すぎる社会常識だからです。
 こもる人は、社会の目を気にするあまり身動きが取れなくなっていることが多いのです。

 それでも恐くて心配なときは、社会に迷惑をかける度合いを考えてもいいでしょう。
または、
 自分が好きなことをしたときの、自分や他者に対する損害を落ち着いて考えてみます。
 そうして、
 自分が好きなことをしたときの、
自分の利益と、他者・社会の不利益

 自分が好きなことを我慢したときの、
自分の不利益と、他者・社会の利益

 をよく考えて、自他に問題ない程度に、または問題ない形で、
自分の好きなことをして心地よくなることをしていくのです。

 これ、一言でいうと、折り合いをつけるとなります。
自分の心を殺すほどに相手の言うなりになるのでもなく、
かといって、相手の気持ちを無視してでも自分の思いを遂げるでもなく、
 双方の折り合いをつけるのですね。

 家族や支援者は、この一連の作業を見守りながら、適宜共有するといいと思っています。
自分がどんな時にどんな感情になるのかを会話したり、
そのとき、どんな風に折り合いをつけたかを話し合ったり、
 こもる人のモデルになるのですね。

そんなサポートの仕方があります。


参考書籍 拙著
『こもって、よし! ひきこもる僕、自立する私』(鉱脈社)
『「親」を育てる「ひきこもり」』(私家版)



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