誰を一番大切にしてますか?

2014年12月16日

 むかしむかし、カウンセリングのトレーニングを始めたとき、
クライエント・ファースト
 という言葉をミミタコで教わりました。

 カウンセラーの好奇心、
 カウンセラーの価値観、
 カウンセラーの気持ち
などより、

 クライエントの今ここでの思い、
 価値観、
 気持ち、

 などを最優先しましょう。

 という意味で、
カウンセリングの基本姿勢だぁっ!
 とキビシイ訓育がありました。叫び

 これ、例えば、
 「お母さんなんかいなくていい!」
とクライエントが口にした場合、

 「そんなこと言っちゃイカンわぁ。お母さん悲しむがぁ」
とカウンセラーが言ったとしたら、

 それは、自分の気持ちや、親を悪く言ってはイケないという自分の価値観に従ったのでしょうから、
 クライエントファーストではなく、私ファーストになります。

 さて、
この誰かを最優先、一番大切にする心の姿勢には、とっても難しいのです。

 例えば、子どもを叩いてしまう親に向きあう場合、

「あんた、子どもは宝物よ! そんげなコツしたらいかんわ! 子どもン気持ちを一番に考えンと!」ちっ、ちっ、ちっ

 と親を叱るのは、子どもを一番大切に思う心の姿勢から発せられているのでしょう。

 また、
 怪我をした介護状態の親を連れてきた家族に対して、

 「あんたがこれまで大きくなったとは、こん人のお陰じゃが。こん人がおらんとあんたはおらんとよ。自分のことばっかい考えちょらんで、もうちょっと大事にせにゃ。こんげなケガさしてかい、ぐらしか」フンッ

 と家族を責めるのは、介護される人を一番大切に思うからでしょう。

 どちらも、より弱い立場の人を大切にするという優しい心にもとづいているのでしょうが、その代わりに、

子どもを叩いてしまう親の立場、気持ちや、
介護をせねばならない家族の思い、生活上の現実的負担
 などは大切にしていません。

 誰かのことを最優先、一番にすると、その思いが強いばかりに、それ以外の人を大切にしなくなることがあるのですね。
 勘違いしてはいけないのは、誰かを一番大切にするということは、誰かを責めたり、虐げていいという許可ではないということ。

 子どもの親を責めることで、親が他者に相談しなくなり、かえって子どもが被害を受けることも考えられます。
 二度と外でケガをしないように、介護が必要な人を部屋に閉じ込めることもありえます。

 こんな風に考えると、誰かのことを最優先、一番大切にするということは、
単純な発想ではできないことのようです。
 特に独りよがりの発想に陥らないようにせねばならないのでしょう。

 一番大切な人に思いを馳せながらも、
関係する人たちをすべて大切にすること。

 そして、
 たくさんの人の立場に立てるイメージ力のようなものすごい配慮力と、
 関係者(care giver)が自分を大切にしながらもケアを受ける人も大切にできるようになるまで思いを寄せ続ける忍耐力と、
 なによりもあらゆる関係者との協調性

 クライエントファーストには、これらのことが問われるようです。


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