アルコール依存症の家族について

2014年11月10日

 アルコール依存症について以前記しましたが、
今回は、依存症にまつわる人間関係、特に家族についてのお話しします。

 アルコール依存症は、依存症本人の肉体と心に ※ときに魂もという指摘もありますが、
悪い影響を及ぼすことは以前の記事に書きました。




 そればかりではなく、家族関係にも悪い影響を与えるのです。

 よくお酒を呑む家族・伴侶に関して、
 家族は、酒を飲んだ上での、悪口、粗野な行動、失敗は大目に見ることが多いもの。
そして、その後始末、謝罪などを飲酒者の代わりにやることも少なくないでしょう。

 歓楽街で、酔いつぶれた人が仲間の肩を借りて歩く姿、
仲間の代わりに謝る姿は珍しくないですね。
 ある意味見慣れた光景。

 だからか、それほど大ごとにはとらえないのが常。
なぜなら、酔いが覚めれば、その人はまともになるからです。
 そう、酒を飲んだ上での粗相だからです。

 しかし、アルコール依存症となると、そうとも言っていられません。
飲酒量が多く、飲酒する時間も長く、都合、体内にアルコールが入っている期間がとても長いからです。
1日中アルコールが体内にあることも珍しくないでしょう。

 つまり、常に酔っている状態なので、自制が効きづらくなっています。
悪口を言う、粗野な言動をする、約束を破る、事故・失敗などを頻繁に起こします。
 多くは暴力もともないます。

 家族は、その後片付けに奔走し、
そして、飲酒家族がまた何かやらかさないかと気が気でない日々を送るようになるでしょう。

 そのため、
家族が、家庭で安らぐ時間はとても少なくなります。
 アルコールに振り回されるからです。

 心配と恐怖に彩られた家族の心は、安全を求めます。
その多くが、飲酒家族に代わって自分たちが飲酒をコントロールしようとします。

 酒を飲ませないように、また適度に呑むように、
家中の酒瓶を隠したり、お店に呑ませないように売らないようにお願いしたり、誓約書を書かせたり、替わりにコーヒーを飲ませたり、
 時に嫌酒の薬をお酒に混ぜたり。

こうして、飲酒家族を支配・コントロールする意識が高まります。

 しかしながら、これらのコントロール努力は功を奏しません。
精神と肉体の飲酒への渇望は、人の努力をはるかに凌駕するものだからです。

 飲酒者にとっては、これら家族によるコントロールがストレスとなって飲酒意欲をかき立て、飲酒の口実すら与えることにすらなります。
「お前がそうやってヤンヤ言うから、酒飲みたくなるわぁ」

 そうなのです。
 私たちには、相手をコントロールする力はないのです。
アルコホリックアノニマス、アラノンではパワーレスとして指摘されています。

この項続く。



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