フツーの社会と私の心はまったく合わないのでした2

2014年09月20日

  前回の続きです。

 さて、精神科医師の高橋和巳さんは、『消えたい』(筑摩書房 2014)において、
虐待環境で成長した者は、自分が所属する社会・人間関係のルールを自ら独り学んで、必死にそれこそ命がけで適応する。

 そこにおいては、食べること、寝ること、学ぶこと、遊ぶこと、人と付き合うことなど、生きる上で行うあらゆることが「義務」となっている旨を指摘しています。

 楽しいから、ただ心地いいから、そうしたいから、食べたり、眠ったり、おしゃべりしたりするのではなく、
それらは、せねばならないからする義務なのだと言いいます。

 そう考えると、親子であること、友人であること、今ここにいること。
私がこの世に存在すること自体が義務的であるかもしれません。
 今ここにいるから、身を養い、関係を築き、生活する上での勤めを果たさねばならない。
決して望んでいるわけでもなく、それらを楽しんでいるわけでもなく。

 そうあらねばならないから、ただ役目を果たす。
 そうせねばならないから、ただやることをやっている。

 帰りたい家だから帰るのではなく、帰らねばならないから、帰って役目を果たさねばならないから帰る家。
 会いたいから近づくのではなく、近づかねばならないから、近づいてそれぞれ家族としての役目を果たす家族。

 こんな私聞風坊の認識と一致します。

 そのようなことから氏は、虐待を受けずに育った普通の人の世界と被虐待者の世界はまったく別だと考えた方がいいとも言います。
価値観、常識、ルールがまったく違うまるで異邦人だと。
 だから、普通の世界の人用に作られた心理療法、声かけ、励ましは効果をあまり発揮しないとも。

 私聞風坊の考えに引き寄せて考えると、
普通の人のPと普通の社会の価値観、常識、ルールは自然と一致しているが、
 私のPと、普通の社会のそれらは異なっている。

 だから私が普通の社会で普通に生きるには、
まずその社会でのルールを学びPに取り込み、
 それを、
今まさに体験しているこの社会のルールと合致するように適宜取り出さねばならない。
 今この社会に合わせられれば生きられる。合わせられなければはじき出される。

 だから、私は生きづらい。
となりましょうか。

 そもそも別世界のルールで生きている私は、
頑張って頑張ってやっと普通世界での生活が送れる。

 それは、いつも私のPを社会に合わせていなければならないということ。
その緊張感は途切れることはない。
 だからいつも妙に疲れている。

 ひきこもったとき、ホッとした気持ちがありました。
それは、もう頑張って社会に合わせなくてもいい状況になったからのようです。

 人と話すとき、今この人はどんな風に考えてるのか?
今この状況は自分に害をもたらすものではないか?
 知らないうちにそうなってないか?

 猜疑心を持ち、警戒しながら、今ここでの正しいルールを、探り探り人と関わる。

 自然体で関わっているようでありながら、内心奥深いところの怯えを隠しながら
普通の社会で生きることを放棄することで、やっと安らぎが得られたのですね。
 それは、私が普通の世界の住人ではない異邦人だということの証でしょう。

 私は異邦人。普通の世界の住人ではない。
 
 そういうことを受け容れれば、普通の世界との付き合い方も変わってくるでしょう。
それまでとは違う形で、スムースに社会参画できるようになるのでしょう。
 もう無理して自分を普通に仕立てることはしなくていいのですから。

〈参考記事〉 ※高橋氏の「義務」にあたることを私は「仕事」としていました。

 


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