親から奪われたものを悼むことは、親の呪いを解くことの始まり。

2020年08月28日

幼小期に虐待や体罰を受けたりと逆境を経験した人は、与えられなかったものと同様に、奪われたものも少なくありません。

自分の時間
親の都合にいつも振り回されていたり、
親が急にそして強引に用事を言いつけてきたりするので、
落ち着いた自分の時間が持てません。

その状況下で、
少しでも自分の時間がありそうなときは、やりたいことを急いでやり遂げる癖が付くことは自然でしょう。
大人の今でも、なにをやるにしても焦ったように手早くすましているかもしれません。
自分の時間があるうちにと。

自分の時間が奪われる。
自分の時間は奪われる。
これが一生にわたると、人生が奪われたことになります。

尊厳
自分のことしか頭になく、子どもを自分の道具と思っている親は、いかに子どもを利用するかしか考えません。
虐待の英語表記は、Child abuseですが、これはChildのab-use。子どもの不適切な利用の意味だそうです。

だから、
子どもは自分が親から大事にされている、価値を置かれている、大切な存在だという意識を持つことが難しい。
いてもいなくてもいい。親の都合によって、いた方がいいときは喜ばれ、いない方がいいときは嫌がられる。邪魔者扱いされる。
親が必要とするときにのみ、かつ親の利益に叶うときだけ、自分の価値が生じる。
それ以外はないも一緒。
道具のように物扱いされる子どもは、人としての尊厳を自分に感じることはできません。

自分の考え
親の考えに沿った考えしか許されない。
自分なりに考える暇すら許されない。
自分の考えは親に否定され奪われる。

そのうち、
親から育てて貰うことと引き換えに自分の考えを親に差し出す。
自分を提供する。
それが無力な自分が持っている唯一の生き延びる手段だから。

感情
感情も同様。親が望む感情しか感じてはならない。自分の感情は奪われる。
または、命と引き換えに自分の感情を親に提供する。

育てられることを条件に親と契約する。
時間や尊厳や考えや感情を質にして自分の命を守る。
幼小児の決断。

これらのことを大人になって振り返り、

結果として、生き延びた自分をほめ、
ねぎらい、
過去に失ったもの、与えられなかったものを悼み、悲しみ、

区切りをつけることは重要です。

人知れず苦心惨憺頑張ってきたおかげで、
今、相当な困難にも対処できる力を手にしているのだから。

あの頃、生きるなら自分を差し出せと呪いをかけられ縛られていたように、
今も過去のあの頃と同様に呪いに縛られて身動きが取れないだけなのだから。

過去のことを過去に置くことさえできれば、
自然と今と未来に目が向くのだから。

生き延びた自力の強さを感じながら。
やっていけるのだから。

そうやって、
自力で呪いは解けるのだから。

呪いを解く自力があるのだから。


  
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