ひきこもり状態の人がどんな風に自分を変えたがっているかの研究の話

2018年12月15日

「ひきこもり状態にある若者は自己受容をどのように志向するか」(古志めぐみ 青木紀久代 カウンセリング研究第50巻第2号)
によると、

ひきこもり状態にある若者は、

今の自分を全面的に変えたい人がとても多かったそうです。
自分を気に入っていない人が多いのでしょうね。

分かる気がします。
自己肯定感や自尊心が低いと言われていることと関連があるのでしょう。

でも、
自分を取り替えるなんて現実的にあり得ません。

それゆえ、
嫌だけど替えられない、どうしていいか分からない状態。
変えたくても変えられない、もんもんとした状態。
のままになってしまっているようです。

そして、それだからか、
せめて、現在のひきこもり状態ぐらいは変えたいと望んでいるようです。

フルモデルチェンジみたく自分を全面的に変えることは難しいけど、
今の自分でありながら、ひきこもらない状態には変化したいようです。
現実的に、こう考える人もまた多いとのことです。

ところが、
いざ変容しようとすると、
どうにもやりたくなくなるようです。
誰しも変化は怖いもの。

それは、
こもる人の特徴の、
社会からの期待にしっかり応えねばならない。でも応えられる自信がない。
という恐れからも来るようです。

そしてそれは、
そもそもどうやって変わればいいかが分からないことと関係しているかもしれません。

この研究によると
憧れている人や周りの人を模倣する気持ちがとても低いのです。

これを裏返すと、
もし、モデルとなる人がいれば、その人を軸に、その人を目指して、
軸を1本決めてやってこられたのではないかと思えます。

困難に出会った時、どう変化すればいいかのモデルがいると、
自分が困った時、どうすればイイかのイメージが湧きやすいもの。

こんな時、あの人はどんな風にしたか?
あの人ならどう考えるだろうか?
って、参考になる人がいれば。

そうして、
ピンチで自分の能力を発揮して苦境を脱していたなら、
そんな力を持っている自分を実感できていたなら、
今のような苦悶の中にずっとひきこもっていることはなかったかもしれません。

こう考えてくると、
モデルがいて、自分の力を発揮できる機会がいっぱいある自助グループが、
魅力的・効果的だという理由が少し解明されたような思いになるのでした。