カウンターの歴史としてのひきこもり支援 3

2018年09月05日

 私聞風坊が語るひきこもりの歴史です。

 今回は、2015年(H27)頃から。

 この頃、
 新しい支援制度が動き出しました。
 生活困窮者自立支援制度です。

 2015年(H27)年から始まった生活困窮者自立支援制度のなかで、
 ひきこもり支援が明示されたことは、

 全国親の会等が中心となった、
 ひきこもりという新たなカテゴリーを作って支援する制度の制定を願っての社会運動の一つの成果です。
 
 生活困窮者自立支援制度は、
 生活保護状態になる前に、まだ頑張って自活している状態の時に手厚い支援があれば、
 保護を受けずとも困窮状態が解消されるということから始まりました。

 この中に、ひきこもりが含まれたのです。

 いきさつとしては、親の高齢化の問題があります。
 親も子も高齢だという8050問題です。

 長くは児童期不登校のころから、
 短くとも30代で離職してから10年以上、
 社会と距離を置いた生活をし中年を迎えた子ども、を抱えた親は高齢です。

 親は年齢的に就労での収入が望めなくなります。
 ところが、
 家族の内、他に働き手はいません。

 生活費がたりません。

 困窮となります。
 ※実はそのずっと前から困窮している気もしますが。

 そうならないように、
 または、
 そうなってからでも、
 なんとか、状況を改善していくための支援が始まっています。

 ひきこもりを病気でもなく働けないでもなく若者でもなく
 困窮でくくって制度支援しようという新機軸の支援です。

 これは、
 ひきこもりは若者の話じゃない!
 というカウンターと、

 お金に余裕があるわけじゃない!
 というカウンターの、

 2つのカウンターです。

さて、
 ひきこもり支援は現在、
 ひきこもり地域センターと困窮者支援の2つの窓口があります。

 ところが、
 困窮の専門家はひきこもりの専門家ではありません。
 就労支援としてひきこもりを支援する方向性だからです。

 一方で、
 医療に強いセンターは困窮・就労の専門家ではありません。

 支援機関には得意分野があります。
 それは不得意分野があるということです。

 だから、
 2つはもとより地域の支援関係者が連携することが重視されています。
 不得意分野を相互に補うのですね。

 こんな感じで現在のひきこもり支援がデザインされています。
 絵に描いた餅にならないように、実行が期待されています。
 
 ひきこもり支援は、模索の連続です。
 支援の歴史は模索の歴史です。

 それは、こもる人へのよりよい支援を模索しての
 それまでの支援法を批判する形、
 つまりカウンターとして進んできました。

 支援を受ける者としては、
 支援の方向性が大きく変動することで大混乱が生じているのですが、

 本質的には、
 思いやりの歴史なのです。

 終わり。
  


Posted by 聞風坊 at 06:00Comments(0)ひきこもる社会のこと