トラウマケアのこと 1 身体

2017年08月13日

 身体はトラウマを記録する――脳・心・体のつながりと回復のための手法
 ( べッセル・ヴァン・デア・コーク著 柴田裕之訳 紀伊國屋書店 2016)

 を読んで、自分がこれまでやってきたことと照らし合わせてみるシリーズです。

 心に傷(心的トラウマ)を負うと、様々な問題が起こります。

 身体との関係が悪くなります。

 幼少期から受傷した、受傷し続けたとすると、身体とのよい関係が築けなくなります。

 どういうことかというと、

 トラウマを負うと、

 ふとしたきっかけで、トラウマを負った体験のまっただ中に放り込まれます。

 過去の恐怖・驚愕・脅威を面前にした体験を、

 今ここで再体験しているその時、身体は当時の状況を再現します。

 自分の身に何が起きているのかまったく分かりません。

 身体は自分の思う通りに動きません。

 それは、いつ起きるか予測がつきません。

 日常ありがちないろいろな音や匂いや味や香りや景色や話題や人の表情や熱い寒い身体に触れる感じなどなどが、
 きっかけとなって、そんな状態に陥るからです。

 フラッシュバックとも言われるこの状態、

 トラウマを負った人は、この状態にいつなるか予測がつかない不安と緊張の中で暮らしています。

 だから、1日、日常を送ることだけでひどく心身を消耗してしまいます。

 そんな状態を改善するために効果的なことは、身体の状態を感じ取ることのようです。

 今自分が、どんな感覚でいるのか? 

 そこに意識を向けることで、フラッシュバックのパニック状態から少し距離が置けるようになるようです。

 脚の裏を床に着けて、床からの圧力を感じる。

 背筋を伸ばして椅子に坐り、座面の感覚や、お腹に力が入る感覚を感じる。

 身体の感覚に意識を向けることで、身体とよく対話できるようになるようです。

 そうしたら、身体が何をしたいかの予測がつく。

 肩周りがこわばっているのでぐるぐる回してほぐしたい。

 胸の辺りが重く凹んでいるので、胸を張って息を深く吸いたい。

 前に手を伸ばして、NO! と言いたい。

 とか。

 身体アプローチと言って、トラウマケアでは、身体感覚をとても大事にします。

 私聞風坊の身体アプローチの最初の出会いは、10代の頃に始めた少林寺拳法でした。

 運動音痴の私は覚えはものすごく悪かった。

 運動音痴。
 今にして思えば納得がいきます。
 身体の感覚にうとかったからです。
 感覚に圧倒されそうだったから、身体感覚を感じないようにしていたからかもしれません。
 身体に関心を持たない。身体を大切にしない。そういう言い方もできるかもしれません。

 そんな私に、
 先生や先輩や同輩は根気強く関わってくれて、年月をかけると私もそれなりにできるようになってきました。

 その話は次回。