人間が社会と関わる順序は恐怖感からはじまること

2017年08月01日

 ポリヴェーガル理論を基盤とするトラウマケアの考え方によると、

 人が、なにか出来事に遭遇して、それにどう応じていくかについては、本能的に手順が決まっているようなんです。

 例えば、

 ゴトッ。と物音がした。

 サッと目の前をなにかがよぎった。

 なんか臭う。

 そんな風に、周囲になにかが起こったことを知覚した時、

 まず、恐怖感を感じ、安全かどうかを判断する作業を行うのだそうです。

 そのために、今やっている作業をおろそかにし、その分、知覚を研ぎ澄まします。

 何か音がしたのなら、聴覚を。

 見えたのなら、視覚を。

 臭ったのなら、臭覚を。

 同時に、行動しようと準備はじめます。

 行動の方向としては、その場から逃げ出すか、

 原因を探るために、何かの方に近づくかのどちらかです。

 その上で、危険度を測ります。

 もし、その何かが人間などの生き物だったなら、

 まずは、笑顔などを作って、親しくなろうとするのだそうです。

 「どうしました?」 みたいに声をかけるかもしれませんね。

 仲良くなることで安全を保とうとする本能的戦略です。

 そういえば、国と国の不調和の解決法に視点を変えてみても、まず外交で仲直りする努力を続けますね。

 さて、仲良くなる努力をしてみたところ、
 相手の応答から、相手の危険度を脅威だと判断したら、

 次の手順である、闘争するか、逃走するかの行動を選ぶことになります。

 物体(転がってきた空き瓶、落ち葉、ノラ猫の糞とか)だったら、危険度に応じて逃げたり、問題解決したり、脅威なしを判定してなにもしないことを選択するでしょう。

 国と国の不調和の解決手順でも、外向が不調に終わったら、武力による解決を図りますね。

 まとめると、

 恐怖を感じた何かに対して、自分から何かする。

 そうして、落ち着きを取り戻す。

 こういう手順です。

 もし、この手順が最後まで達成できなかったら、私たちは不調を抱えることになるようです。

 脳内にアラームが鳴り続けたまま、ストレスホルモンが出つづけたままだからですね。

 脅威な何かに対して、

 闘って安全を勝ち取る。
 安全な場所に逃げおおせる。

 そうすることで、心=脳は平静に戻ります。

 もし、安全を確保できないままだとしたら、身体は常に戦闘状態と一緒でしょう。

 この状態になると、世界全体が脅威となるでしょう。

 身体が常に恐怖を感じている状態だからです。

 この状態だと、
 言動が過度に攻撃的、過度に防衛的になるのも不思議ではありません。

 喧嘩っ早い人、こもり続ける人は

 こんな状態なのかもしれません。

 恐怖を感じながら、人や社会と関わる。
 日々を暮らしている。

 そんな状態、

 いわゆるトラウマを負った状態です。

 社会との関わりには手順があり、手順を最後まで終えないとトラウマになることがある。

 ということを知っておくことは人を理解する上で役立つでしょう。
  
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