ひきこもり予防としての不登校支援はやめた方がいいんじゃないかと思う話

2020年07月14日

フレイルという状態があります。
健康な状態と介護が必要な状態の間の、
記憶や思考力や運動力・活動量が落ちて、あまり活発ではない=あまり健康的ではない状態のことだそうです。

介護状態になるのを予防するためには、このフレイル状態でのケアが重要とされています。
※フレイル状態にならない予防がまず大事ですが。

また、
ロコモティブシンドロームという状態もあります。
移動する際に使う足腰の運動機能が落ちている状態だそうです。

この状態になると、
生活習慣病などの病気、転倒でのケガリスクが高くなります。

そのため、
生活習慣病や転倒ケガなどを予防するために、運動するようにするのだそうです。

さて、
不登校状態というのがあります。
学校に行かず、社会とあまり接さない状態です。

このままでは、ひきこもりになるリスクがあるとされています。

そのため、
ひきこもり予防の一環として不登校状態の改善を図ることがよく行われています。
あの「ひきこもり」になるとマジでヤバイ! ってな感じで、焦りまくって躍起になって。

でも、ここで問題なんです。

今がそこそこ健康な人は、より健康になるために頑張れます。

今が苦しい人は、未来のために頑張ることがしづらくなっています。

今がとても健康でない人は、今をよくするためにも頑張りがききません。

未来の悪いことを予防するために、今何かする。

これは、元気のある人ができること。

そもそも、
不登校は、家庭や学校や病気や障害やいろいろな問題が関係して起きていることが多いのです。

たくさんの問題、その子1人で抱えきれない困難、大人ですら対処できないどうしようもない状況などなど。

こんな状況、状態では、人は明るい未来を予想できません。
予想できたとしても、そこに向かって頑張る力はとても弱くなっています。
未来に向かって頑張ることができづらい状態です。

今の状況の延長上に未来はあるのです。
明日という未来がくるかどうかすら自信のない人もいるでしょう。
今日を生きながらえるだけで精一杯で。

そうなんです。
だから、

不登校というただそれだけで、
今現在の困難を軽くし、
今現在の痛みを癒すことのみに焦点を当てて支援されてしかるべきなんです。

何かの予防のためでなく。

そう思うのでした。
  


Posted by 聞風坊 at 06:00Comments(0)社会のことニート不登校

予防という発想がおぞましい話

2020年03月01日

介護状態予防。インフルエンザ予防。メタボ予防。ガン予防。
新型コロナ感染予防。

不登校予防。ひきこもり予防。ニート予防。

非行予防。退学予防。

困窮予防。虐待予防。

世の中は予防が盛んです。

私たちは、なぜこんなにもいろいろなことについて予防するのでしょうか?

それは、
予防したい状態がとっても苦痛だからみたいです。

介護や看護が必要な状態は、心と身体の苦痛を伴います。

困窮や虐待もそう。

ありていに言えば、
それらは悪い状態です。
悪い状態にならないように予防する。
そういう発想でしょう。
おおむね納得いきます。

一方で、不登校やひきこもりの場合はどうでしょう?

そのほとんどが、
学校にいる状態、社会にいる状態が苦痛だから、
自宅などの学校や社会以外の場にいることを選んだ状態です。

つまり、苦痛は軽減している。
だから、苦痛ばかりの学校や社会にいるよりは健康なんです。

ありていに言うなら、
不登校状態やひきこもり状態は、よい状態なんです。
健康的な状態と言ってもいいくらい。

すると、
不登校やひきこもり状態になるのを予防するいうことは、
よい状態になるのを予防するということになります。

なんだかよく分からない話です。

※非行の場合は、
非行することで痛みが軽くなる、痛みから(一時的に)逃れられる、学校や社会か家庭にはないけど非行グループの中に居場所がある。
だから非行していると解釈されます。

また、
不登校してる人やこもる人の中には、不登校やひきこもりが自分たちらしさと重なる人たちがいます。
学校や社会に行かない今の状態が、まさに自分らしい生き様だという風に。
不登校やひきこもりじゃなくなったらそれはもう自分じゃない! というぐらいに。

そんな人たちは、
不登校やひきこもりの状態だからこそ、かろうじて自分はこの世に存在できている。
そう思っているかと思います。

ところが、
不登校・ひきこもり予防となると、そういう生き様、自分らしさは、イケナイことになります。
ありていに言えば、
悪い。
そんな存在の仕方は。

だから、予防せねばと発想するのですものね。

不登校、ひきこもり予防。
これを、
不登校やひきこもりが自分たちの生き様、存在形態になっている不登校の人やこもる人はどう受け止めるでしょう?

自分たちはイケナイことをしているイケナイ存在なんだ。
社会からは認められていないんだ。

学校や社会や家族や支援者や大人たち・・・は、
自分たちをウィルスみたいに駆逐しようとしているんだ。
との想いを抱きそうだということは想像に難くありません。

実際問題として、
不登校やひきこもりは社会の悪い見本として認識されているようですから、無意識に駆逐撲滅の対象とされているようです。

不登校やひきこもりしない社会の実現を目指すとき、撲滅の無意識が働いているように思えます。

だって、
不登校のまま暮らせる社会、ひきこもっていてもやっていける社会の実現。じゃないですもの。

不登校、ひきこもりの予防。
この発想には、こんなおぞましさが潜んでいるんです。

気をつけましょう。
とりわけ、予防に熱を上げる研究者の人たち。
予防じゃなくて、学校や社会でやっていける方法を開発することが、結果的に予防になるように思いますよ。

  


Posted by 聞風坊 at 06:00Comments(0)社会のこと発達障害ニート不登校

仕事の仕方だけを覚えるんじゃないんだ!

2019年07月05日

 齢50を迎え、人生を振り返ると、

 私、結構働いていたなと思うのです。

 最近。

 実家が家業していたので、そのお手伝いから始まり、
 10代の頃は学校の休みに働き手として。

 他に、
 塾の講師とか、プロレスの会場設営とか、缶工場の短期とか、バイトもいくつか。

 20代はサラリーマン。

 30代はひきこもりで自助活動で社会活動。
 加えて、
 自宅でテープ起こしの請け仕事や、NPOでバイトも。

 40代はカウンセラー。

 そして現在も働いている。

 思えばずっとなんかしてる。

 ある意味働いている。

 だから、いろんな働き方を知っています。

 世の中、
 いろいろな職種、いろいろな職場があり、
 いろいろな人たちがそこで悲喜こもごもありながら、
 フツーに働いています。

 だから、いろいろな働き方があるのを身をもって知っています。

 働き方は多種多様なんです。

 そして!

 サボり方も多種多様!

 煙草を吸う人は、ちょこちょこ時間をとって休憩という名のサボりをしている。

 作業の合間をぬって、ボーッとしている人は多い。私も御同様。

 PC仕事だと、ちょこちょこ休憩がてらネットを見てたり。

 今じゃスマホをちょい見するのでしょうか。

 同僚と冗談言い合うことなんかしょっちゅう。

 そんなこんなで、
 仕事って、待ち時間がわりかし多いんです。

 すき間時間というか、スキのある時間というか。
 仕事をしないそういう時間も。

 その時間に、上手にサボる。

 仕事に支障のないように。

 息を抜く。

 そんなことも仕事を通して覚えたのでした。

 仕事の仕方と仕事のサボり方。

 両方身につけて社会人やってます。

 仕事に就いてからのことが不安で仕事に就くことに困難をおぼえる人は、

 仕事のサボり方を覚えればいいように思えます。

 ちょこちょこ上手に息を抜く方法はたくさんあります。

 お手本は、
 社会人全員!

 仕事って、上手にサボりながらやっていくもんなんです。
  
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就労に生活リズムは関係ないんじゃないかという話

2019年05月25日

 ニートやひきこもりの支援にあって、就労支援は主軸です。

 ニーズのあるなし効果のあるなしに関わらず、国の方針としては主軸なんです。

 そしてこの時、まっ先に取り組むべき事柄として、生活リズムがあります。

 なぜかこれがまっ先に取り組む事とされています。

 例えば、朝起きる。夜眠る。

 3食食べる。

 適度な運動をする。

 健康診断にいく。

 などなど。

 を就労支援でやります。

 この方針を聞くとき、きっと多くの支援を受ける人たちは下記の事を思うでしょう。

 夜勤の人いるんじゃね?

 また、
 働いた経験のある人ならおおよそ下記の事を知っています。

 夜更かしして遅刻寸前で職場に行っている勤め人はとても多い。

 3食きちんと食べている労働者は少ない。

 二日酔いで出勤した経験のない人は少ない。

 適度な運動をしている社会人はめったにいない。

 残業続きで、帰宅時間がまちまちで、家にいる時間もあまりない人は少なくない。

 つまり、実際に働いている人は、おおよそ、

 生活リズムは乱れているという事を。

 (理想的な)健康状態でもないと言う事を。

 にも関わらず、
 なぜか生活リズムの改善をまっ先に取り組む事になるニート・ひきこもり就労支援の不思議。

 どうやら支援の前提が、
 生活リズムが整えば働ける。整っていないから働けないという設定だからみたい。

 でもこれ、問題があるんです。
 生活リズムが整うまでは働かなくてもいい。
 なぜなら、リズムが整ってないと働けないから。
 と言う意味にもなるんです。

 就労支援としての説得力のなさからも、
 動機づけの低さからも、
 支援効果の低さからも
 そんなこんなで、
 就労支援場面で、就労するための条件として生活リズムが整うこと事は必須ではないと思うのです。

 ぶっちゃけ、仕事するならば、私生活は関与しない。
 が職場・仕事の大原則だし。

 ゆえにむしろ、
 仕事があるから生活リズムを整ってくる面の方が強いような。

 そんなこんなでだから、
 就労支援は、マッチングじゃないかと思うのです。
 今の状態で働ける職場とマッチングする事。

 そんな
 理解と配慮のある職場。
 で自分の力を発揮して仕事するために、自分は何をせねばならないか?

 そうして、
 自然と生活は整ってくるように思えます。




  


Posted by 聞風坊 at 06:00Comments(7)社会のことニート

子どもの相談に来た親と支援者との会話の1例

2018年10月30日

 もし、こんな会話がなされたらどうなのだろう?

 と考えたのでした。

 支援者「息子さんにどうなってほしいですか?」
 親「働いてほしい」

 支援者「なるほど、では、息子さんがそうなるために、今の息子さんは、何から始めた方がいいと思いますか?」
 親「ハロワに行く、風呂に入る、人と話す・・・朝起きること」

 支援者「外出せずに、人と話さずに、自分の力でできることと言えば、自力で朝起きることでしょうか」
 親「そうですね。時々朝起きてきますし」

 支援者「なるほど、すでにやっていると。なら、できそうですね。息子さんは、朝起きることについてどう思われてますか?」
 親「できれば朝起きたいと思っているようです。昼間図書館とか行くことありますし。他に用事もあるようですし」

 支援者「そうなのですね。ならば、朝起きることをちょっと頑張ってみるのはいいことかもしれませんね。自分がやりたいことができるようになるのだし」
 親「ええ、でも夜ゲームばかりしていて、なんべん言っても聞かないし」

 支援者「そうですか。では、息子さんが自力で朝起きるために、どんな手助けがあるとよさそうですか? そしてあなたには何ができるでしょうか?」
 親「あまりうるさく言わないで。言うと逆にゲームに熱中するようです。起きてきたときに、ご飯できてるよとか」

 支援者「息子さんが自力で起きてきたときに、ご飯できてるよって、普通に言うのでしょうか」
 親「ええ、それならよさそうです。いいんじゃないかなぁ」

 支援者「息子さんが働くために、さしあたりあなたにできそうなことは、息子さんが自力で朝起きてきたときに普通に接する。それのようですね。やってみますか」
 親「そうですね。ま、やってみます」
   
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